第15章 ワールドカップ【炎のゴブレット】
眉を下げたシリウスは私へと手を伸ばした。
両頬に彼の両手が触れて、顔が近づくのが分かり、1歩だけ後ろに下がったけれど、シリウスはそれを許さないと言わんばかりに顔を近づける。
「他人を優先して守ろうとするのは君の美徳だが、自分の事も考えなければならない。分かるかい?」
「わ、わかったから……」
「近いよ、シリウス」
ペシッとリーマスがシリウスの頭を叩けば、シリウスはリーマスを睨みながらも私から離れた。
さっきまでのシリウスの近さを思い出した私は、一気に顔が赤くなるのが分かった。
夢の中でシリウスに惹かれていた。
そして今、シリウスに惹かれ始めているということに気がついた私は、シリウスが近くにいる度に鼓動が早くなったり顔が赤くなるのを自覚している。
(シリウスの優しさや、強さに多分……『叫びの屋敷』から私、シリウスに惹かれていたんだ)
自分の命より、ハリーや私を守ろうとしたり、私の両親やハリーの両親の死に誰よりも怒りを感じて、ペティグリューを殺そうとしたりした所。
「アリアネ、貴方……」
じっと私を見ていたハーマイオニーが、何か言いたげにしていた。
「わ、私……お茶を入れてくるわね!」
「じゃあ私も手伝うわ。マグル式で出来るのよね?」
「出来るわよ。この屋敷は元々マグルの屋敷だったらしいから」
マグルの屋敷を祖父母が買い取ったと聞いている。
だから、料理もマグル式で出来るし、勿論魔法を使っても出来るけど私たちは魔法をまだ使っちゃいけないからマグル式で料理をする。
「じゃあ、ハーマイオニーとお茶いてくるわね」
「行ってらっしゃい」
リーマスの言葉に手を振りながら、私とハーマイオニーはキッチンへと向かった。
ヤカンを取り出して、ティーポットとティーカップを用意している時だ。
「ねえアリアネ。貴方、もしかしてシリウスのこと好きなの?」
「え!?」
危うくティーカップを落としそうになった。
「な、なん、なんで……!」
「見ていたら分かるのと、女の勘ね」
「別に好きとかじゃなくて……惹かれているだけなの」
「惹かれて?」
「……シリウスの優しさと、誰かの為に命懸けになる所や、強さに。でもね、まだ好きとかじゃないの。ただ……惹かれているだけ」
まだ好きとか恋愛感情があるわけじゃない。
そう思っている。