第15章 ワールドカップ【炎のゴブレット】
だから、彼が隠れ家を出ていく前にハリーと会わせてあげたかったから、今日ハリーを連れ出したのである。
「やあ、ハリー。来たんだね」
「え、ルーピン先生!」
「もう先生じゃないよ」
リーマスは少し離れた場所で私たちを待っていた。
漏れ鍋に行くまでは距離がある為、『姿現し』でここまで来たのである。
そして『姿くらまし』で私の隠れ家までいくつもりだ。
「ここから漏れ鍋までは距離があるからね。『姿くらまし』で、隠れ家に行くよ」
「分かりました。それでルーピン先生がいたんですね」
「そうだよ。君たちはまだ魔法を使っちゃいけないからね。私が居ないと。じゃあ、アリアネ、ハリー、私の腕を掴んで」
路地裏に行ってから、私とハリーはリーマスの腕を掴む。
そしてギュルッと回転するかのような不思議な感覚に襲われて、景色がぐにゃりと歪む。
暫くすると足が地面に付着して、目を開ければ、目の前には隠れ家があった。
「ここが、アリアネの隠れ家!」
「既にハーマイオニーとロンもいるわ」
「2人もいるんだ!」
ハーマイオニーとロンは、既にリーマスが迎えに行って隠れ家にいる。
なのでシリウスと共にお留守番をしてもらっているのだ。
私はハリーを案内しながら隠れ家に招いた。
応接間へと向かう最中、ハリーはキョロキョロと家の中を見回す。
そんなハリーにクスッと笑いながら応接間にたどり着いた。
「シリウス。ハリーを連れてきたわよ」
「ハリー!」
「シリウス!?お久しぶりです!見た目が少し変わったから驚いた……!」
それもそうだろう。
あれだけ長くて荒れ放題だった髪の毛は切って、髭も剃っているし、少し肉付きはよくなった。
落窪んでいた目は元に戻ってきたし、清潔な姿になっているシリウスは誰が見ても驚いてしまうはず。
シリウスは爽やかな笑みを浮かべると、ハリーを抱きしめた。
ハリーは最初、抱きしめられた事に驚いていたけれど、おずおずと自分も抱き締め返していた。
「アリアネに聞きました。隠れ家を出るって」
「ああ。これ以上ここで厄介になるのもあれだからね。それに、もし私が匿われていると知られたら、アリアネに迷惑をかけてしまう。それだけは避けたい」
「別に大丈夫なのに……」
「君が大丈夫でも、私が大丈夫じゃないんだよ」