第15章 ワールドカップ【炎のゴブレット】
「お久しぶりです、ハリーの叔父様、叔母様。ハリーはいますでしょうか?」
にっこりと貼り付けた笑みを浮かべながら、私はダーズリー夫婦を見つめた。
夫婦は私を見て顔を強ばらせていたが、直ぐに口をわなわなとさせて、ハリーの叔父が言葉を発した。
「あの小僧に何か用事があるのか」
「ええ。あるので訪ねて来たんです。いますよね?手紙ではいると言っていましたが……。いないなんて、言いませんよね?」
圧をかけるように笑みを浮かべれば、ハリーの叔母が顔を引き攣らせた。
そしてくるりと私に背を向けると、家の中へと叫んだ。
「ハリー!いるんだろう!出ておいで!」
「わあ!呼んで下さりありがとうございます!助かります!」
暫くすると、ドタドタと足音が聞こえて驚いた表情を浮かべたハリーが現れた。
私が来たことに驚いているようだけど、目は期待や色んなもので満ちている。
「どうしたんだい、アリアネ」
「私の家に来るって言ってたでしょう?だから迎えに来たの。ほら、手紙で伝えた通り、私の家は分かりにくい所にあるから」
「そうなんだ!わざわざありがとう」
「ハリーの叔父様、叔母様。暫くハリーをお借りしますね」
有無も言わせずにハリーの手を取ると、ハリーの叔父は顔を真っ赤にさせて怒ろうとした。
「別に構いませんよね?ああ、もしかしてハリーを夏休み中に閉じ込めるなんて話はないですよねえ?そんな事していたら、私は然るべき所に連絡しなきゃならないですから」
「そ、そんな事するわけないだろう!行くならさっさと行くんだな!わしは送らんぞ!」
「ありがとうございます。叔父さん」
「じゃあ、行きましょう、ハリー」
私はハリーの手を握ったまま歩き出した。
「シリウスがね、もう少しで隠れ家から出るの」
「え!?」
歩きながら、私はハリーに説明した。
シリウスは数日前に、隠れ家が出ると私とリーマスに伝えたのである。
別に隠れ家を出なくてもいいと伝えた。
『これ以上、ここで迷惑になる訳にもいかない。それに他の場所でマグルに目撃させたりとしなきゃならないしな。それと、もしここで私が匿われていると知られたら、アリアネにもリーマスにも迷惑をかける。それだけはしたくない』
そう言われてしまい、シリウスの決意は固くて、反対することも出来なかった。