第2章 授業と決闘【賢者の石】
酷いぐらいに落ち込むハリーに、私はなんと声をかけようかと悩む。
マルフォイが原因でもあるから説明すれば、ハリーは退学にならないはず。
そう考えながら、私たちはマクゴナガル先生の後をついて行った。
マクゴナガル先生は正面階段を上がり、大理石の階段をあがっていく。
そしてドアをひねるように開けてから、また廊下を進んでいった。
(マクゴナガル先生は何処に向かっているんだろう。もしかして、ダンブルドアにハリーを退学するように言うつもりなのかしら·····)
不安になっていれば、マクゴナガル先生はとある教室の前で立ち止まった。
そしてドアを開けると中へと顔を覗かせる。
「フリットウィック先生。申し訳ありませんが、ちょっとウッドをお借りできませんか」
私とハリーはお互いに顔を見合わせた。
「ウッドって、木?もしかして僕を叩くために?」
「それは無いと思うわ·····多分」
二人で不安げにしていれば、教室からとあるたくましい姿の上級生が出てきた。
「三人とも私についていらっしゃい」
ウッドと呼ばれた先輩も、不思議そうに私たちを見ながらマクゴナガル先生について行く。
暫くして、マクゴナガル先生は人気のない教室の前で立ち止まって私たちを見た。
「お入りなさい」
中に入ると、確かに人は居ないけれどそこにはピーブスがいた。
黒板に下品な言葉を書いていて、眉を寄せていればマクゴナガル先生が一喝する。
「出ていきなさい、ピーブス!」
一喝されたピーブスはマクゴナガル先生に捨て台詞を吐いてから出ていった。
それを見送ったマクゴナガル先生は教室の扉を閉めてから、改めて私たちを見る。
「ポッター、こちら、オリバー・ウッドです。ウッド、シーカーを見つけましたよ」
その言葉に、ウッドの顔がほころぶ。
「本当ですか?」
「間違いありません。この子は生まれつきそうなんです。あんなものを私は初めて見ました。ポッター、初めてなんでしょう?箒に乗ったのは」
状況は分からないけれど、マクゴナガル先生の声が少しだけ柔らかい。
お説教をする訳じゃないのだろうかと首を思わず傾げてしまった。
「この子は、今手に持っている玉を、16メートルもダイビングしてつかみました。かすり傷ひとつ追わずに。チャーリー・ウィーズリーだってそんな事できませんでしたよ」