第2章 授業と決闘【賢者の石】
杖をゆっくりと降ろすと、マルフォイは安心したように息を吐いた。
その瞬間、私は思いっきりマルフォイの足を踏みつける。
「いっ!?」
「今度余計な事をしたら、その舌を引っこ抜くから。いいわね」
マルフォイは何度も頷いた。
そして私が足を退かすと、マルフォイ逃げるように行ってしまう。
逃げ出す様はしっぽを丸めた犬のようで笑ってしまった。
「アリアネ、貴方ね!もしさっきのが先生方に見つかっていたらどうなってたと思うの!?」
「退学かもしれないわね。でも、もしそうなったら退学前にあの減らず口のマルフォイの舌を引っこ抜くわ。そうね、パーキンソンやクラッブやゴイルの舌も引き抜いてもいいわね」
「もう·····なんで貴方はそう好戦的なの?」
「さあ?」
わざとらしく肩を竦めてから、私は杖を収める。
これからマクゴナガル先生のところに行って、何故ああなったのかを説明しなければ。
マルフォイにも責任があると強めに言おう。
マクゴナガル先生はグリフィンドールの寮監でもある。
それに、ちゃんと話をすれば分かってくれる先生のはずと思いながらハーマイオニーの方を見た。
「ハーマイオニー。私、マクゴナガル先生の所に行って説明してくるわ」
「分かったわ。でも、マクゴナガル先生にも好戦的にならないでね」
「もちろんよ。ロン、またあとでね」
「ハリーが退学にならないように、頼むよ!アリアネ!」
ロンの言葉に私は頷いて見せると、マクゴナガル先生の姿を探しに向かった。
城に入り、廊下を行ったり来たりと探していればマクゴナガル先生とハリーの後ろ姿を見つける。
「マクゴナガル先生!」
そう叫ぶと、マクゴナガル先生がゆっくりと振り返り私を見ると小さく息を吐いた。
「あの、ハリーの件なのですが」
「それは後で聞きましょう。ちょうどいいです、Ms.フリート。貴方も着いてきなさい」
「え、あ·····はい」
何処に行くのだろうか。
私は少しソワソワしながらもマクゴナガル先生の後ろにいるハリーの隣に立つ。
「どうしよう、アリアネ。僕、きっと退学になるんだ。フーチ先生が、動いたらホグワーツから出ていってもらうって言ってたし」
「私が、なんとかしてみるわ。ハリーが悪いんじゃないもの。元凶はマルフォイよ」
「でも、きっと十分後には僕は荷物をまとめてるんだよ·····」