第14章 秘密【アズカバンの囚人】
そして、ホグワーツ特急はキングズ・クロス駅に到着した。
私たちは4分の3番線の柵を通ってから反対側に戻ってきた。
「それじゃあ、また2ヶ月後ね」
「そうね。3人とも、隠れ家に来る時はふくろう便をちょうだいね。迎えに行くから」
「絶対に行くよ!シリウスに会いたいからね」
私たちは別れを告げてから、それぞれの場所へと向かう。
そして私はモリーおばさんの元へと駆け寄ると、彼女は少し寂しそうにしながらも私を抱きしめた。
「いつでも来ていいのだらね」
「ありがとう、モリーおばさん」
ぎゅっと抱き締め合いながら、駅を出ればそこにはリーマスがいた。
にっこりと微笑みながら、私を見ると手を振ってくれる。
ちらり、ちらりと生徒達がリーマスを見ているが、私は気にせずにリーマスの元に駆け寄った。
「リーマス!迎えに来てくれたのね!」
「ああ。本当はシリウスも来たがっていたけれどね、置いてきたよ。アイツが来たら大変なことになってしまう」
「そうね」
「さあ、帰ろう。私たちの家に」
私はリーマスの隣を歩きながら、隠れ家へと向かうのだった。
❈*❈*❈*❈*❈*❈*❈*❈
「ただいま!」
隠れ家は森に包まれたように隠れている。
ダイアゴン横丁から近いけれど、森に囲まれた場所にあるからシリウスが隠れるのは丁度いい。
「やあ、アリアネ」
隠れ家に入れば、シリウスが出迎えてくれた。
落窪んだ瞳に痩せこけた頬を見ると、早く健康体に戻さないとと意気込んでしまう。
「シリウス。ハリー達、夏休みの間にこっちに来るらしいから」
「そうなのかい。じゃあ、3人にまた会えるね」
ふと、シリウスは私の頬へと手を伸ばした。
そして優しく私の頬を撫でてきてから、にっこりと優しく微笑んでくる。
「これから夏休みだけど、どう過ごすのかい?」
「そ、そうね……。まずは、シリウスの身なりをどうにかしなきゃね」
「私のかい?」
「ええ!まずは髪の毛も切って、髭も切らないと!」
「ああ、そうだね。でも、その前にマグルに私の姿を見せなければ」
シリウスはそう言うと、ウインクをした。
その姿に私はドキッと心臓が高鳴るのを感じて、首を傾げた。
(今の、なに……?)
すると、シリウスは目を細めながら私の頬を撫でる。
優しく、壊れ物を扱うように。