第14章 秘密【アズカバンの囚人】
「ウン……ダーズリー家じゃ、喜んで僕を追い出すよ。……特にマージ叔母さんのことがあったあとだし……」
ハリーはダーズリー家に帰ることに落ち込んでいたから、ロンの提案で少し元気になったようだ。
その事に安堵しながら、私は今から帰ることを楽しみにしていた。
帰ればリーマスがいるし、シリウスがいる。
(8年ぶりの名付け親との生活だわ)
「ねえアリアネ。君の隠れ家ってらどこにあるんだい?」
「あ、そうだったわね。ちょっと待って」
私はトランクから羊皮紙と羽根ペンを取り出すと、隠れ家ある住所を書いた。
「ダイアゴン横丁から近いから、漏れ鍋に来て。迎えに行くから」
「ありがとう。シリウスは、隠れられているかな」
「鍵は渡しているし、リーマスがいるだろうから、大丈夫と思うわ」
「見つからないように気をつけないと。もし、シリウスを庇っている事がバレたら、貴方もルーピンもただじゃ済まないわよ」
「分かってるわ。気をつけるつもりよ」
やがて、昼になると、いつもの魔女がワゴンを引いて沢山のお菓子を運んできた。
私はチョコレート以外のお菓子を選んで買ってから、口に頬張って食べていた。
「ハリー」
ハーマイオニーがハリーの肩越しに何かを見つめていた。
「そっちの窓の外にいるもの、何かしら?」
窓の外を見れば、何か小さくて灰色のものが窓ガラスの向こう側でぴょこぴょこと見え隠れしている。
「ふくろうだわ!」
ハリーが窓を開ければ、ふくろうが飛び込んできた。
ふくろうはハリーに手紙を渡すと、誇らしく嬉しげにコンパートメントの中を飛び回る。
手紙を見れば、それはハリー宛であり、ハリーは乱暴に封をあけた。
「シリウスからだ!」
「シリウスから!?」
「えーっ!」
「読んで!」
『ハリー、元気かね?
君が叔父さんや叔母さんのところに着く前にこの手紙が届きますよう。
叔父さん達がふくろう便に慣れているか動画分からないしね。
バックビークも私も無事にアリアネの隠れ家で隠れている。
吸魂鬼がまだ私を探していると思うが、ここにいれば、私を見つけることはとうてい望めまい。
もうすぐ何人かのマグルに私の姿を目撃させるつもりだ。
ホグワーツから遠く離れたところでね。
そうすれば城の警備は解かれるだろう。
短い間しか会っていないので、ついぞ話す機会が無かったことがある。