第14章 秘密【アズカバンの囚人】
「君、100点満点の試験に320点でパスしたじゃないか!」
「そうよ。でも、また来年、今年みたいになるのは耐えられない。あの『逆転時計(タイムターナー)』、あれ、私、気が狂いそうだつわた。だから返したわ。『マグル学』と、『占い学』を落とせば、また普通の時間割になるの」
「君が僕たちにもそのことを言わなかったなんて、未だに信じられないよ」
ロンはふくれっ面で呟いた。
「僕たち、君の友達じゃないか」
「誰にも言わないって約束したの」
「まあ、仕方ないわよ、ロン」
ふと、私達はハリーの方を見た。
物思いにふけた表情に、ハーマイオニーが慰めるように言葉をかける。
「ねえ、ハリー、元気を出して!」
「僕、大丈夫だよ。休暇のことを考えてただけさ」
「ウン、僕もそのことを考えてた。ハリー、絶対僕たちのところに来て、泊まってよ。僕、パパとママに話して準備して、それから話電くる。話電の使い方がもうわかったから」
「ロン、電話よ。まったく、貴方こそ来年『マグル学』を取るべきだわ……」
その言葉にロンは知らんぷりしてから、私の方へと視線を向けてきた。
「アリアネ、今年からウィーズリー家に戻らないんだって?」
「ええ、そうよ。フリート家の隠れ家に住むの。リーマスもいるから、今年からはウィーズリー家には帰らないの。既にモリーおばさん達には伝えているわ」
そう、今年から私はウィーズリー家に帰らない。
リーマスと暮らすことを選んだから、ウィーズリー家に帰らないのだ。
モリーおばさんとアーサーおじさんには既に伝えているし、了承も得ている。
『何時でも遊びに来てね』とモリーおばさんは手紙で言ってくれた。
本当は寂しいけれど、リーマスと暮らすことになって嬉しい。
「フレッドが寂しがりそう」
「なんでそこでフレッドが出てくるの?」
「なんでもないよ。でも、僕も寂しいさ……いつも一緒に帰ってたから」
「何時でも遊びに行くわ。それに、ロンも遊びに来てちょうだい。ハリーとハーマイオニーも。それに、今はシリウスがいるから」
最後の言葉だけ静かに伝えた。
「そうね、遊びに行くわ」
「うん。絶対行くよ!」
「そうだ!今年の夏はクィデッチのワールド・カップだぜ!どうだい、ハリー?泊まりにおいでよ。一緒に見に行こう!パパ、たいてい役所から切符が手に入るんだ」