第14章 秘密【アズカバンの囚人】
あの屋敷はとても広い。
大きさもあって、部屋の数も多い家だから、シリウス1人だけじゃ広すぎて可哀想だ。
誰か、あと2人ぐらい住まなきゃいけない。
「お願い、聞いてくれるよね?」
「……それが、誕生日プレゼントでいいのかい?そんなものが」
「とても高級な誕生日プレゼントよ、私にとっては。ずっと願っていたのもの」
「……君が、それでいいと言うなら。そうだね、一緒に住もう。シリウスがいるけれどね」
「うん!!ありがとう、大好きよ、リーマス!」
私は思わずリーマスに抱き着いた。
リーマスは『わっ!』と驚いた声を出したけれど、直ぐに私を抱きしめてくれる。
リーマスのローブに頬ずりすれば、彼の優しい匂いがしてくる。
その温もりと匂いに包まれていれば、ドアをノックする音が聞こえて慌ててリーマスから離れた。
驚いて振り返ると、ダンブルドアがいた。
「リーマス、門のところに馬車が来ておる」
「校長先生、ありがとうございます」
リーマスはスーツケースと空になった水槽、そして私が私たち鍵を手にした。
「それじゃ、さよなら、ハリー、アリアネ。君たちの先生になれてうれしかったよ。ハリー、またいつかきっと会える。校長、門までお見送り頂かなくて結構です。1人で大丈夫です……」
「それでは、さらばじゃ、リーマス」
リーマスとダンブルドアは握手を交わした。
「私、門まで見送るわ」
「別に構わないよ」
「嫌よ。話したいことだってあるんだから」
私はそうして、リーマスと話しながら門まで見送った。
ちゃんと最後にあの家で待っていると言ってくれたことが、嬉しかった。
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学期最後。
試験の結果が発表された。
私もハリーも、ロンもハーマイオニーも全教科合格だった。
ちょっとだけ、『魔法薬学』も合格出来たのには驚きだったけれど合格出来てよかった。
それに、グリフィンドール寮は3年連続で寮杯を獲得した。
グリフィンドール寮のテーブルではお祭り騒ぎとなっていて、楽しいひと時を過ごした。
翌朝、ホグワーツ特急がホームから出発した。
その時に、ハーマイオニーが驚くべきことを打ち明けた。
「私、今朝、朝食前にマクゴナガル先生にお目にかかったの。『マグル学』を辞めることにしたわ」