第14章 秘密【アズカバンの囚人】
「どうしてそれをご存知なんですか?」
「それ以外、吸魂鬼を追い払えるものがあるかい?」
ハリーは何が起こったのか、ゆっくりとリーマスに説明した。
話している最中に、リーマスは微笑みを浮かべていて、話終えるまで笑みを浮かべていた。
「そうだ。君のお父さんさ、いつも雄鹿に変身した。君の推測どおりだ……だから私たちはプロングズと呼んでいたんだよ」
リーマスは最後に数冊の本をスーツケースに放り込んでから、引き出しを閉めた。
「さあ、昨夜『叫びの屋敷』から、これを持ってきた」
そう言いながら、リーマスは綺麗に畳まれているハリーの『透明マント』を渡した。
「それと……」
ちょっと躊躇ってから、リーマスは『忍びの地図』もハリーに差し出した。
「私はもう、君の先生ではない。だから、これを君に返しても別に後ろめたい気持ちはない。私には何の役にも立たないものだ。それに、君とアリアネとロン、ハーマイオニーなら、使い道を見つけることだろう」
にっこりとハリーは嬉しげに微笑みながら、地図を受け取った。
「ムーニー、ワームテール、パッドフット、プロングズ、レッドベアーが、僕を学校から誘い出したと思うだろうって、先生、そうおっしゃいました。……面白がってそうするだろうって」
「ああ、そのとおりだったろうね。ジェームズだったら、自分の息子が、この城を抜け出す秘密の通路を1つも知らずに過ごしたなんてことになったら、大いに失望しただろう。これは間違いなく言える」
リーマスは最後にスーツケースを閉めた。
そこで、私はローブのポケットに手を突っ込んでから、リーマスの手を取る。
「これ……」
「これは……鍵?……もしかして、フリート家の隠れ家の鍵かい?」
「うん。そこに、シリウスもいるの」
その言葉にリーマスは目を見開かせた。
「私、お願いがあるの。リーマス……」
「なんだい?」
「もうすぐで、私の誕生日でしょう?だから、お願い聞いて。私ね、貴方とまた一緒に生活したいの」
「……アリアネ」
「だから、その家を私たちの家にしよう?父さんと母さんもリーマスが一緒なら文句は言わないわ。それにあの屋敷、広すぎて1人じゃシリウスが可哀想でしょう」