第14章 秘密【アズカバンの囚人】
「さあ、そろそろ時間だわ」
ハーマイオニーが時計を見ながら、何処か緊張した声を出した。
「ダンブルドアが病棟のドアに鍵をかけるまで、あと45分ぐらい。シリウスを救い出して、それから、私たちが居ないことに誰か気づかないうちに病室に戻っていなければ……」
「それまでここで待っていないといけないわね……」
じっと、茂みの中で私達は時が来るのを待っていた。
45分という時間はとても長く感じられて、バックビークなんか退屈そうに虫ほじりを始めている。
「シリウスはもう上に行ったと思う?」
「どうかしら……」
私とハリーは互いに時計を見たり、城を見たりと繰り返していた。
その時、ハーマイオニーが小声で囁いてきた。
「見て!あれ、誰かしら?お城から誰か出てくるわ!」
「あれは……アクネアじゃない!」
城から出てきたのは死刑執行人のアクネア。
何処かの門に向かって歩いているのが見えた。
「そうだよ、アクネアだ!死刑執行人だ!吸魂鬼を迎えに行くところだ。今だよ、アリアネ、ハーマイオニー!」
「バックビークに乗るわよ!」
私はバックビークの首を撫でてから、その背中に乗ってからハーマイオニーへと手を伸ばす。
「ハーマイオニー、腕を掴んで!」
「ありがとう、アリアネ!」
ハーマイオニーを引っ張って乗せてから、次はハリーの腕を引っ張ってから乗せた。
ハリーは綱を手繰り寄せてから、バックビークの首の後ろに回してから手綱のようにする。
「いいかい?ハーマイオニー、僕に掴まるといい」
私はハーマイオニーに掴まり、ハーマイオニーはハリーに掴まる。
そしてハリーがバックビークの脇腹を踵で小突くと、バックビークはブワッと羽を広げて飛び出した。
「ああ、だめよ。いやよ。ああ、私ほんとうに、これ、いやだわ……」
「大丈夫よ、ハーマイオニー。ちゃんとハリーに掴まっていたら落ちないから」
「怖いものは怖いのよ!」
音もなく飛んだバックビークは徐々に城に近付いた。
「ドウ、ドウ!」
ハリーがそう言うと、バックビークは速度を落とす。
バックビークは空中に浮かんでいて、羽を羽ばたかせるとその度に上下に揺らいだ。
「あそこだ!」
窓に沿って浮き上がった時に、シリウスを見つけた。
ハリーさ手を伸ばしてから窓ガラスを叩いた。