第14章 秘密【アズカバンの囚人】
ハーマイオニーと2人で、ファングの耳の裏をかいてやるとファングは吠えるのを辞めた。
「危なかったわ!」
「ああ……」
「ハリーが気づいてくれなかったから、本当に危ないところだったわ。リーマスが森に駆け込んだの、忘れるんじゃなかったわ……」
安堵の息を吐き出していれば、バックビークはまたハグリッドの小屋に戻れたのが嬉しいのか、暖炉の前で寝そべっている。
「ねえ、僕、また外に出た方がいいと思うんだ。何が起こっているのか、見えなし、いつ行動するべきなのか、これじゃわからない」
「ハリー……」
「僕、割り込むつもりはないよ。でも、何が起こっているか見えないと、シリウスをいつ救い出したらいいのかわからないだろう?」
「ええ……それなら、いいわ……私、ここでバックビークと待ってる……でも、ハリー、気をつけて。狼人間がいるし、吸魂鬼も」
「分かってる」
「じゃあ、私もいくわ。ハリーだけだと何だか心配だし。1人より2人の方がいいでしょう?」
そうして、私とハリーは再び外に出て、走り出した。
遠くからはキャンキャンというシリウスの鳴き声が聞こえてくる。
もうシリウスに吸魂鬼が迫っているということだ。
「もうシリウスのところに吸魂鬼が迫っているんだわ……!」
「てこと、もうすぐで僕達がシリウスのところに駆けつけるはずだよ」
木陰に隠れるようにしながら、私達は湖のほうを見つめる。
「……もうすぐで、守護霊を送り出した人が現れるんだ」
ハリーの言葉に私は目を見開かせた。
あの時、吸魂鬼に守護霊を送り出したのは本当にハリーのお父さんなのだろうか。
湖をじっと見れば、ハリーが守護霊を出そうとしているのが見えた。
そして私だろう人物も守護霊を出してから、そのあとバッタリと倒れる。
「アリアネ、守護霊が出せたんだ……!」
「でも上手くできなかったと思うわ。直ぐに意識を失ってるもの」
「でも凄いよ。流石はアリアネだね」
「フリート家は色んな呪文を得意とするから」
その時だった。
銀色の光がプツリと消えてしまい、吸魂鬼が私たちを囲みだしたのだ。
「早く……」
ボソリと隣でハリーが呟く。
「父さん、どこなの?早く……」
だけど、誰も現れない。
ハリーのお父さんも誰も、現れないことに眉を寄せた。
その時、ハリーが突然叫んだ。