第14章 秘密【アズカバンの囚人】
ハーマイオニーがピシャリと言う。
その言葉にハリーは悔しげに黙ってしまうが、ハーマイオニーは言葉を続けた。
「私たちにはどうにも出来ないことよ!私たち、シリウスを救うために時間を戻したの。他のことはいっさいやっちゃいけないの!」
「わかったよ!」
「2人とも静かにして……!本当にバレちゃうから!」
「「ごめん……!」」
2人を静かにさせてから、様子を見守る。
月が雲の影から現れて、リーマスの動きが泊まるのを見た。
いよいよリーマスが狼人間に変身する。
「ルーピンがいよいよだわ。変身してる」
「ペティグリューもそろそろ逃げるわね……あの卑怯者、何処に逃げたのかしら」
なんて話している時だった。
ハリーが急に立ち上がってから、私たちの腕を引っ張る。
「アリアネ、ハーマイオニー!行かないと!」
「駄目よ。何度も言ってるでしょ」
「違う。割り込むんじゃない。ルーピンがまもなく森に駆け込んでくる。僕たちのいるところに!」
「……あ!!」
「早く行かないと!!」
そうだ、リーマスはあの時シリウスと戦ったあとに森に駆け込んで行ったのだ。
私たちがいるこの森に駆け込んでくる事を、ハリーの言葉で思い出した。
慌ててバックビークの手綱を木から解いてから、私達は森を走り出した。
リーマスがこちらに来る前にどこらに逃げないといけない。
「ねえ、どこに行ったらいいの?どこに隠れるの?吸魂鬼がもうすぐやってくるわ」
「ハグリッドの小屋に戻ろう!今は空っぽだ。行こう!」
転けそうになりながらも何とか走り、ハグリッドの小屋を目指す。
途中、背後からリーマスの遠吠えが聞こえてきた。
本当は狼人間だからといってリーマスから逃げたりするのは嫌だった。
でも逃げないと襲われてしまい、それこそリーマスを傷付けてしまう。
(ごめんなさい、リーマス……)
心の中でリーマスに謝りながら、小屋へ向かう。
暫く走っていれば小屋が見えて、ハリーが戸を開けた。
その中に私とハーマイオニーとバックビークは慌てて駆け込んだ。
すると、人が突然入ってきたことに驚いたファングが吠え始めた。
「シーッ、ファング。私達よ!」
「アリアネと、ハーマイオニーとハリーよ。大丈夫、不審者じゃないわ」