第14章 秘密【アズカバンの囚人】
バックビークを撫でていれば、城から誰かが出てきのが見えた。
黒髪に黒いローブは見慣れたものであり、直ぐにセブだと気が付き、ハリーとハーマイオニーの肩を叩いて知らせる。
「セブが来たわ」
「本当だ。このタイミングで来てたのか……」
セブは『暴れ柳』に向かって走っている。
そして『柳』の目の前で急に立ち止まり、辺りを見渡していた。
そして落ちていた『マント』を手に取る。
「汚らわしい手で触るな!」
「シッ!」
「ハリー静かに……!」
セブはリーマスがしたように、木の枝でコブに触れて木を動かなくするとマントを被ってから姿を消してしまった。
「これで全部ね。私達全員、あそこにいるんだわ……さた、あとは、私たちがまた出てくるのを待つだけ……」
「出てくるまで、まだ時間がたっぷりあるわね……」
ハーマイオニーと私は近くの木の枝にしっかりと、バックビークの綱を結びつけてから、土の上に座った。
「ハリー、アリアネ、私、分からないことがあるの……どうして吸魂鬼はシリウスを捕まえられなかったのかしら?私、吸魂鬼がやってくるところまでは覚えてるんだけど、それから気を失ったと思う……本当に大勢いたわ」
「私も直ぐに気を失ったから、何でシリウスを捕まえなかったのか分からないのよね。あれだけ吸魂鬼がいたのに……」
「僕も不思議だけど、あるものを見たんだ」
ハリーも座ってから説明を始めた。
1番近くにいた吸魂鬼がハリーの口元に口を近づけたこと、その時大きな銀色の何かが、湖の向こうから疾走してきて吸魂鬼を退却させたことを話してくれた。
「でも、それ、なんだったの?」
「銀色の何かでしょう?なんだったのかしら」
「吸魂鬼を追い払うものは、たった1つしかありえない。本物の守護霊だ。強力な」
「でも、いったい誰が?」
その言葉にハリーは無言になる。
「どんな人だったか見たの?先生の1人みたいだった?」
「ううん。先生じゃなかった」
「でも、本当に力のある魔法使いに違いないわ。あんなに大勢の吸魂鬼を追い払うんですもの……守護霊がそんなに眩く輝いていたのだったら、その人を照らしたんじゃないの?見えなかったの?」
「でも、ダンブルドアかしら?そんな強力な魔法を使える人って限られているじゃない」
「ううん、ダンブルドアじゃなかったよ」