第14章 秘密【アズカバンの囚人】
アクネアの顔が窓から消える。
チャンスは今だろうと思い、ハリーの顔を見れば、彼と目が合う。
「ここで待ってて。僕がやる」
ハリーは木陰から飛び出すと、かぼちゃ畑の柵を超えてからバックビークに近づいていた。
「大丈夫かしら」
「窓からアクネアが覗いていないか見張りましょう。もし、覗きそうになったらハリーに言わなきゃ」
ハリーはバックビークにお辞儀をしていた。
するとバックビークもし膝を曲げて体制を低くし、立ち上がる。
そしてハリーがバックビークを繋いでいる紐を解こうとした。
「アクネアは大丈夫そう?アリアネ」
「ええ、大丈夫そうよ」
ハグリッドの小屋から声が聞こえてくる。
そして縄を解いたハリーがバックビークを引っ張りだした。
「おいで、助けてあげるよ。そーっと、そーっと」
ハリーが縄を引っ張るが、何故かバックビークは抵抗している。
すると、小屋の方から足音が聞こえてき始めた。
「さあ、さっさと片付けましょうぞ」
「ハグリッド、君は中にいた方がよくないかの」
「いんや、俺は、俺はあいつと一緒にいたい……あいつを独りぼっちにはしたくねえ」
ハグリッド達が出てきてしまう。
その事に私とハーマイオニーは顔を真っ青にさせてから、ハリーの方を見た。
「バックビーク、動いてくれ!」
ハリーの声に、バックビークがやっと動き始める。
だが森まではまだ距離があるし、これではハグリッド立ちに見つかってしまう。
すると、小屋の中からダンブルドアの声が聞こえてきた。
「アクネア、ちょっと待なさい。君も署名せねば」
小屋からの足音が聞こえなくなる。
今がチャンスだとハリーが縄を引っ張り、バックビークはイライラとした様子で歩き出す。
「ハリー、早く!」
「ハリー、急いで!早くしないと出てきちゃう!」
2人でハリーを急かせば、ハリーは慌てた表情でバックビークを引っ張った。
すると、抵抗するのを諦めてくれたのか、バックビークは足早にこちらにやって来てくれる。
「早く!早く!」
私とハーマイオニーは木の影から飛び出してから、バックビークを手綱を引っ張り、早足でその場を去る。
肩越しで小屋の方を振り返れば、既に木の影で小屋が見えなくなってきていた。
そしてハグリッドの裏庭が見えなくなった時だ。
「止まって!」