第14章 秘密【アズカバンの囚人】
「僕たち自信と、ハグリッドに見られるだけじゃないか!」
「ハリー、あなた、ハグリッドの小屋に自分自身が飛び込んで来るのを見たら、どうすると思う?」
ハーマイオニーは眉間に皺を寄せながら、ハリーにそう訊ねた。
そして私自身も、もし自分が飛び込んで来たらどうするだろうかと考える。
「僕、多分気が狂ったのかなと思う。でなければ、何か闇の魔術がかかってると思う」
「私もそう思うわね。闇の魔術で襲われそうになるんじゃないかと思うわね」
「その通りよ!事情が理解出来ないでしょうし、自分自身を襲うこともありうるわ!分からないの?マクゴナガル先生が教えてくださったの。魔法使いが時間にちょっかいを出した時、どんなに恐ろしいことが起こったか……」
ぶるりとハーマイオニーは身震いをする。
「何人もの魔法使いが、ミスを犯して、過去や未来こ自分自身を殺してしまったのよ!」
「わかったよ!ちょっと思いついただけ。僕、ただ考えて……」
「シー!2人とも静かにして」
私は2人を黙らせてから、城の方を指さした。
すると2人は口を閉ざしてから、城の方を見て目を見開かせる。
遠くの正面玄関からはダンブルドアと魔法大臣、年老いた委員会のメンバーに、死刑執行人が来ていた。
「間もなく私たちが出てくるわよ!」
ハーマイオニーの言葉通り、ハグリッドの小屋の裏口から私達が出てきた。
自分たちをこうしてみるのはなんだか妙な感覚。
暫く木の影に隠れながら様子を見守っていれば、ハーマイオニーが私とハリー、ロンに『透明マント』を被せていた。
そしてハグリッドの『急ぐんだら、聞くんじゃねぇぞ』という言葉に被せてノックの音が響いてくる。
(死刑執行人達が着いたのね……)
私達は既に『透明マント』を被って行ってしまっている。
そして半開きの扉から中の話が聞こえてきた。
「獣はどこだ?」
「外、外にいる」
死刑執行人のアクネアの顔が、ハグリッドの小屋の窓から見えた。
ジロリとした瞳でバックビークを見ていて、私は慌てて木の影に顔を引っ込める。
「ハグリッド、我々はその、死刑執行の正式な通知を読み上げねばならん。短くすますつもりだ。それから君とアクネアが書類にサインする。アクネア、君も聞くことになっている。それが手続きだ」