第14章 秘密【アズカバンの囚人】
ハーマイオニーの言ったことがよく飲み込めないまま、私とハリーは全力速で走る。
野菜畑を突っ切り、温室に辿り着くとそこで一呼吸してからまた走り出す。
目指すは隠れ場所となる森。
木々の影に入ってから、私は辺りを見渡した。
誰もいない木々に隠れていれば、ハーマイオニーがコソコソと喋る。
「これでいいわ。ハグリッドのところまで忍んで行かなくちゃ。見つからないようにね、ハリー、アリアネ」
木々の間を進みながら歩いていた。
暫くすると、ハグリッドの小屋の戸口が見えて、戸を叩く音が聞こえたくる。
私達は慌てて太い樫の木の影に隠れて、幹の両側から覗いてみる。
ハグリッドが青ざめた表情で、戸口に顔を出して誰が戸を叩いたのか確認している。
そして私達は自分達の声を聞いた。
「自分をこうして見るなんて……まさか、こんな事が起きるなんて」
「こんな変てこなこと、僕たち今までやったことないよ!」
「もうちょっと行きましょう。もっとバックビークに近づかないと!」
木々を抜けて、私達はかぼちゃ畑に繋がれているバックビークが見えるところまで近づく。
「やる?」
「ダメ!いまバックビークを連れ出したら、委員会の人たちはハグリッドが逃がしたと思うわ!外に繋がれているところを、あの人たちが見るまでは待たなくちゃ!」
「確かに、今動かしたらハグリッドが疑われてあの人の立場が悪くなってしまうわね」
「それじゃ、やる時間が60秒くらいしかないよ」
「あら、充分じゃないの?」
「どこが……!?」
私の言葉にハリーが絶句する。
でも60秒なら充分かもしれないと思うのは私だけなのだろうか。
するとハグリッドの小屋から陶器の割れる音が聞こえてきた。
「ハグリッドがミルク入れを壊したのよ。もうすぐ、私がスキャバーズを見つけるわ」
それから数分後、ハーマイオニーの驚いて叫ぶ声が聞こえてくる。
「ハーマイオニー、アリアネ。もし、僕たちが中に飛び込んで、ペティグリューをとっ捕まえたらどうだろう」
「それはダメだと思うわ」
「そうよ、ダメよ!分からないの?私達、もっと大切な魔法界の規則を1つ破っているところなのよ!時間を変えるなんて、誰もやってはいけないことなの。だーれも!ダンブルドアの言葉を聞いたわね。もし誰かに見られたら……」