第14章 秘密【アズカバンの囚人】
そしてバタンとドアが閉まり、魔法大臣はベストにぶら下げている大きな懐中時計を見た。
「吸魂鬼がそろそろ着いた頃だ。迎えに出なければ。ダンブルドア、上の階でお目にかかろう」
魔法大臣はそう言うと、病室の扉を開けて廊下で立っていた。
セブが出るのをどうやら待っているようだが、セブは一向に外に出ようとしない。
「ブラックの話だと、一言も信じておられないでしょあな?」
「わしはハリーとアリアネとハーマイオニーと4人だけで話したいのじゃ」
「シリウス・ブラックは16の時に、既に人殺しの能力を露にした。お忘れになってはいますまいな、校長?ブラックはかつて吾輩を殺そうとしたことを、忘れてはいますまい?」
セブは何度もそう聞いた。
その言葉にダンブルドアは小さく息を吐き出す。
「セブルス、わしの記憶力は、まだ衰えておらんよ」
ダンブルドアがそう静かに言うと、セブは眉間に皺を寄せながら踵を返して、魔法大臣が開けて待っていドアを肩をいからせなが出ていった。
ドアが静かに閉まる。
それと同時に、ダンブルドアが私達の方を向いた。
「先生、ブラックの言っていることは本当です。僕たち、本当にペティグリューを見たんです」
「ペティグリューが本当の犯人なんです。シリウスは無実です」
「ペティグリューはルーピンが狼に変身した時逃げたんです」
「ペティグリューなネズミです」
「ペティグリューの前脚の鉤爪、じゃなかった、指、それ、自分で切ったんです」
「ペティグリューがロンを襲ったんです。シリウスじゃありません」
「ダンブルドア先生、シリウスは無実の人間なんです」
私達が一斉に話し出した言葉を、ダンブルドアは遮ることなく聞いてくれた。
「今度は君達が聞く番じゃ。頼むから、わしの言うことを途中で遮らんでくれ。なにしろ時間が無いのじゃ」
ダンブルドアは相変わらずの静かな声で言葉を続けた。
「ブラックの言っていることを証明するものは何ひとつない。君達の証言だけじゃ。13歳の魔法使い3人、何を言おうと、誰も納得せん。あの通りには、シリウスがペティグリューを殺したと証言する目撃者が、いっぱいいたのじゃ。わし自身、魔法省に、シリウスがポッターとフリートの『秘密の守人』だったと証言した」
「ルーピン先生が話してくださいます」