第14章 秘密【アズカバンの囚人】
私とハリーは杖を手にしてから上半身を起こして、ベッドから降りようとしていた。
「校長先生にお目にかかるんです」
「ダンブルドア先生に、お話があるんです」
「ポッター、フリート」
すると、マダム・ポンフリーは私たちを宥めるかのように言葉をかけてきた。
「大丈夫ですよ。ブラックは捕まえました。上の階に飛び込められています。吸魂鬼が間もなく『キス』を施します」
「「えーっ!?」」
思わず私とハリーは叫んでベッドから飛び降りた。
すると私たちの叫び声が聞こえたようで、魔法大臣とセブが病室に入ってきたのだ。
「ハリー、アリアネ、何事だね!?」
魔法大臣は慌てながら声をかけてくる。
「寝てないといけないよ。ハリーとアリアネにチョコレートをやったのかね?」
「大臣聞いてください!シリウス・ブラックは無実です!ピーター・ペティグリューが自分が死んだと見せかけたんです!今夜、ピーターを見ました!大臣、吸魂鬼にたれをやらせてはだめです」
「シリウスは無実です!魔法大臣!!ピーター・ペティグリューが本当の犯人なんです!」
すると魔法大臣は微かに笑みを浮かべると、首を横に振った。
「ハリー、アリアネ、君達は混乱している。あんな恐ろしい試練を受けたのだし。横になりなさい。さあ、全て我々が掌握しているのだから」
「してません!捕まえる人を間違えています!」
「シリウスは無実なんです!」
「大臣、聞いてください。お願い」
ハーマイオニーと私は慌てて魔法大臣の元に駆け寄って、シリウスが無実だと言うことを訴えた。
「私もピーターを見ました。ロンのネズミだったんです。『アニメーガス』だったんです、ペティグリューは。それに──」
「お分かりでしょう、閣下?」
そこで、セブが口を挟んできた。
薄ら笑いを浮かべながら、魔法大臣に声をかける。
「『錯乱の呪文』です。3人とも……ブラックは見事に3人に術をかけたものですな……」
「僕たち、錯乱してなんかいません!」
ハリーが叫んだその時、マダム・ポンフリーの怒号が響いた。
「大臣、先生!2人とも出ていってください。ポッターとフリートは私の患者です。患者を興奮させてはなりません!」
「僕、興奮してません。何があったのか、2人に伝えようとしてるんです」
「そうです。私たちの言うことを聞いてくだされば……」