第14章 秘密【アズカバンの囚人】
セブはハリーを敵視して、酷い扱いをしているじゃないかと叫んで平手打ちしたいけれど、それをグッと我慢した。
「そこでですが、他の生徒であれば、停学でしょうは。少なくとも、友人をあれほどの危険に巻き込んだのですから。閣下、お考えください。校則の全てに違反し、しかもポッターを護るためにあれだけの警戒措置が取られたにも関わらずですぞ規則を破り、夜間、人狼や殺人者とつるんで。それにポッターは、規則を犯して、ホグズミードに出入りしていたと信じるに足る証拠を吾輩はつかんでおります──」
セブはどうもハリーを停学にしたいらしい。
私だって規則を破って、ホグズミードに行ったしそれをセブは知っているはずなのにと、怒りを感じる。
「まあまあ……スネイプ、いずれのそのうち、またそのうち……あの子は確かに愚かではあった……」
魔法大臣も何を聞かされているのだろうか。
そう思いながら目を閉ざして、吐き気が収まるのを待っていた。
「一番驚かされたのが、吸魂鬼の行動だよ……どつして退却したのか、君、本当に思い当たる節はないのかね、スネイプ?」
「ありません、閣下。吾輩の意識が戻った時には、吸魂鬼は全員、それぞれの持ち場に向かって校門に戻る所でした……」
「不思議千万だ。しかも、ブラックも、ハリーも、アリアネも、それにあの女の子も──」
「全員、吾輩が追いついた時には意識不明でした。吾輩は突然、ブラックを縛り上げ、猿轡を噛ませ、担架を作り出して、全員を真っ直ぐに城まで連れて来ました」
そこで会話が途切れた。
そして目を開ければ、ハーマイオニーの向こう側にはハリーの姿があり、そして彼の向こう側ではマダム・ポンフリーが何かをしている。
彼女の腕の下でロンの赤毛が見えた。
そして、魔法大臣とセブが半開きになったドアから入り込んでいるのが見える。
「おや、目が覚めたんですか!」
マダム・ポンフリーの言葉で、ハリーが目を覚ましている事に気が付いた。
起き上がると、ハリーの向こう側にはロンがいるのが見えた。
「「「ロンは、どうですか?」」」
私と、ハリー、ハーマイオニーの言葉が重なる。
「死ぬことはありません。あなた達3人は、ここに入院です。私が大丈夫だというまで。ポッター、フリート、何をしてるんですか?」