第2章 授業と決闘【賢者の石】
フーチ先生は私たちを見ると、釘を刺した。
もしこの場に双子がいれば、先生がいなくなった途端に何かしそうと何故か急に思ってしまう。
「箒もそのままにして置いておくように。さもないと、クィディッチの『ク』を言う前にホグワーツから出ていってもらいますよ。さあ、行きましょう」
ネビルは痛さや怖さがあったせいなのか、グチャグチャに泣いていた。
そして手首を押さえて、フーチ先生に抱えられるようにして歩いていく。
暫くして、二人の姿が見えなくなる。
ネビルは大丈夫かしらと、心配していた時であった。
マルフォイはまるでフーチ先生の姿が見えなくなるのを待ってました、と言わんばかりに笑いだす。
「あいつの顔を見たか?あの大まぬけ」
「やめてよ、マルフォイ」
すると、パーバディがマルフォイを咎めた。
だがそれを逆手に取って、マルフォイたちスリザリンは笑い出す。
「へー、ロングボトムの肩を持つの?」
「パーバディったら、まさかあなたが、チビデブの泣き虫小僧に気があるなんて知らなかったわ」
「いい加減にしなさいよ、マルフォイ、パーキンソン!」
聞いていられなかった私は、パーバディを自身の後ろに隠すように立ってからマルフォイとパーバディを冷やかしたスリザリン生のパンジー・パーキンソンを睨み付ける。
「本当に躾がなっていないのが多いわね、スリザリンは」
「ちょっと、アリアネ。辞めなさいよ、喧嘩したら先生に怒られるわよ」
ハーマイオニーが私の袖を引っ張り、私は眉間に皺を寄せた。
するとマルフォイは私が視線を逸らした途端に、どこかに飛び出して何かを拾う。
「ごらんよ!ロングボトムのばあさんが送ってきたバカ玉だ」
「あの、馬鹿マルフォイは·····!」
「ちょっと、本当に辞めなさいよアリアネ!」
イラつきを覚えて、マルフォイの元に向かおうとすればまたハーマイオニーに止められる。
するとハリーがマルフォイの前に立った。
「マルフォイ、こっちへ渡してもらおう」
ハリーの声に、皆が静まる。
するとマルフォイはニヤリと笑いながら、思い出し玉を高く高く投げたりして遊ぶ。
「それじゃ、ロングボトムが後で取りに来られる所に置いておくよ。そうだな、木の上なんてどうだい?」
「こっちに渡せったら!」
ハリーが強い口調で言った途端、マルフォイは箒を手にして飛び上がった。