第2章 授業と決闘【賢者の石】
ハーマイオニーを見れば、彼女の箒は地面をコロリと転がっている。
逆にネビルの箒はピクリとも動いていなかったりとしていた。
そんな二人を見ていれば、ハリーはボソリと呟く。
「たぶん、箒も馬と同じで乗り手を怖がっているのが分かったりしてるんじゃないかな」
「·····え?」
「いや、ほら。ネビルの震え声じゃ、地面に両足を着けていたいって言っているのが見え見えだろう?」
「·····確かにそうね」
ハリーの言葉に、確かにと小さく頷いた。
そして、次にフーチ先生は私たちに箒の握り方から滑り落ちないように箒に跨る方法を見せてくれる。
実際に握っていれば、生徒たちの列の間を回って握り方を直していく。
私も少し握るのが強いと教えてもらって、さっきより軽く持ってみる。
「ねえアリアネ、マルフォイ見てみろよ」
「ん?」
「フーチ先生に、握り方が違うってさっきから何回も指摘されてるんだよ」
ロンとハリーは楽しげにしていた。
あの思い出し玉の件を思い出し、私もついにっこりと笑顔を浮かべる。
「さあ、私が笛を吹いたら、地面を強く蹴ってください。箒はぐらつかないように押さえ、2メートルぐらい浮上して、それから少し前屈みになってすぐに降りてきてください。笛を吹いたらですよ。1、2の·····」
その瞬間だった。
ネビルは先生が笛を吹く前に地面を蹴ってしまい、高く浮上してしまう。
「こら、戻ってきなさい!」
フーチ先生が大声で言うけれども、ネビルは飛んでいってしまう。
本人はパニック状態のようで顔を真っ青にさせているが、箒は四メートルも6メートルもだんだん上へと上がっていた。
「ネビル!ネビル、下がってきて!」
「ネビル!降りてくるんだ!」
私や他の子達がそう声をかけるが、箒は降りてこない。
その代わり、ネビルが箒から真っ逆さまに落ちて、もの凄い音を立てながら草の上にうつ伏せに墜落したのであった。
「ネビル!!」
ネビルが落ちた箒は、未だに高く昇り続けて禁じられた森のほうへと向かっていき姿を消した。
そしてフーチ先生は顔を真っ青にさせながら、ネビルの元に駆け寄る。
「手首が折れてるわ。さあさあ、ネビル、大丈夫。立って」
フーチ先生はネビルを立たせると、私たちの方へと振り向いた。
「私がこの子を医務室に連れていきますから、その間誰も動いてはいけません」