第13章 裏切り者【アズカバンの囚人】
ペティグリューはぜいぜいと、ハリーの影で息を荒くさせていた。
涙はボロボロと溢れているが、誰も彼に同情することはない。
「いいだろう。ハリー、脇に退いてくれ」
「リーマス……」
ハリーは躊躇し、アリアネは心配そうにリーマスを見上げていた。
「縛り上げるだけだ。誓ってそれだけだ」
リーマスの言葉を、ハリーは信用して脇にどいた。
するとリーマスの杖からは細い紐か吹きでてから、ペティグリューは縛られていく。
猿轡も噛まされていて、身動きが出来ないようにされていた。
「しかし、ピーター、もし変身したら……やはり殺す。いいね?ハリー、アリアネ」
ハリーとアリアネは、ペティグリューを見下ろしながら頷いて見せた。
「よし」
2人の反応を見たリーマスはテキパキと動き始めた。
「ロン、私はマダム・ポンフリーほどうまく骨折を治すことが出来ないから、医務室に行くまでの間、包帯で固定しておくのか1番いいだろう」
リーマスはロンの元に向かうと、屈んでからロンの足を数回杖で軽く叩き、『フェルーラ(巻け)!』と呪文を唱えた。
添え木で固定されたロンの足に包帯が巻きついていく。
リーマスは、固定されたのを見てからロンに手を貸してから立たせる。
ロンは恐る恐ると、折れていた足に体重をかけたが、痛さに顔を歪めることは無かった。
その事にロンは表情を明るくさせる。
「よくなりまりた。ありがとう、ルーピン先生」
「どういたしまして」
「あの、スネイプ先生はどうしますか?」
スネイプはぐったりとして、気絶していて動かない。
そんなスネイプの元にリーマスは素早く駆け寄ってから、脈を取ったりする。
「君達4人とも、ちょっと過激にやりすぎただけだ。スネイプはまだ気絶したままだ。ウム……我々が安全に城に戻るまで、このままにしておくのが1番いいだろう。こうして箱べばいい。モビリコーパス(体よ動け)!」
手首、首、膝に見えない糸が繋がったようにスネイプの体は引っ張り上げられて立ち上がる。
首はグラグラとしていて座っていないが、まるで操り人形のように動いていた。
リーマスは『透明マント』を広いげてから、ポケットに綺麗に収めた。
「誰か2人、こいつと繋がっておかないと」