第13章 裏切り者【アズカバンの囚人】
シリウスは足の爪先でペティグリューを小突く。
「万一のためだ」
「私が繋がろう」
「僕も」
ロンは片足を引きずりながらも前に進み出た。
「ありがとう、ロン」
シリウスは空中で杖を動かしてから、重い手錠を取り出す。
ペティグリューは2本足で立たされるてから、左腕はリーマスの右腕に、そして右腕はロンの左腕に繋がれた。
ロンは口を閉ざしてから、スキャバーズの正体をロンはまるで自分の屈辱も受け取っているかのように見えた。
その様子を見たアリアネはロンに声をかけた。
「ロン、大丈夫?」
「まさか自分のペットだと思っていたネズミが、こんな小汚くて君とハリーの両親を裏切って見殺しにした人間だとは思わなかったよ。……味方なんかしていた僕が馬鹿馬鹿しく思える」
ロンはペティグリューの方は見ずに答えた。
ペティグリューは未だに荒い息をしながら、ボロボロと涙を流している。
「さて、行こうか」
リーマスの言葉に反応するかのように、クルックシャンクスがひらりとベッドの上から飛び降りて、先頭に立ってから部屋を出ていく。
「まるで着いてきてと言わんばかりね」
「そうだね」
全員がクルックシャンクスの誇らしげに揺らす尻尾を見ながら、部屋を出るのだった。