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シリウスに導かれ【ハリーポッター❈救済】

第13章 裏切り者【アズカバンの囚人】


「それがどうしたって言うんだい?」

ロンは食ってかかった。
その時に足が傷んだのか、顔は痛みに歪んでいる。
アリアネはそんなロンの傍に駆け寄り、身体を支えながらスキャバーズを見た。
よく見ると、スキャバーズの前脚は指が一本ない。

「指が一本ない」
「まさに。なんと単純明快なことだ……なんと小賢しい……あいつは自分で切ったのか?」
「変身する直前にな。あいつを追い詰めた時、あいつは道行く人全員に聞こえるように叫んだ。私がジェームズとリリーとウィリアスとヘレンを裏切ったんだと。それから、私がやつに呪いをかけるより先に、やつは隠し持った杖で道路を吹き飛ばし、自分の周り5、6メートル以内にいた人間を皆殺しにした。そして素早く、ネズミがたくさんいる下水道に逃げ込んだ……」

シリウスの言葉にアリアネ達は唖然としていた。
あの時聞いた話とは全く違うことだから。

「ロン、聞いたことはかいかい?ピーターの残骸で1番大きなのが指だったって」
「だって、多分、スキャバーズは他のネズミと喧嘩したなにかだよ!こいつは何年も家族の中で“お下がり”だった。たしか」
「12年だね、たしか。どうしてそんなに長生きなのか、変だと思ったことはないのかい?」

リーマスの言う通り、ネズミが12年も生きるのは変な事である。
だがロンもアリアネも、ただ長生きしているネズミなんだとしか思ってこなかった。

「僕たち、僕たちが、ちゃんと世話をしてたんだ!」
「いまはあまんり元気じゃないようだね。どうだね?私の想像だが、シリウスが脱獄してまた自由の身になったと聞いて以来、やせ衰えてきたのだろう……」
「違う!こいつは、その狂った猫とフクロウが怖いんだ!」

ロンはベッドの上でゴロゴロと喉を鳴らすクルックシャンクスと、椅子の上に止まるジークを指さした。
だがアリアネはすぐに、それは違うと気がついた。

スキャバーズは、クルックシャンクスが現れる前から衰えていた。
ジークはたまにしかスキャバーズを襲っていたが、衰えるほど襲ってはいない。
その事に気がついていたのはハリーもだった。

「この猫とフクロウは狂ってはいない」

シリウスはかすれている声でそう呟くと、クルックシャンクスとジークの頭を撫でた。
するとクルックシャンクスは喉を大きく鳴らし、ジークは気持ち良さげに目を細める。
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