第13章 裏切り者【アズカバンの囚人】
スネイプがそう叫んだ時、ハリーが叫び返した。
「恥を知れ!学生時代に、からかわれたというだけで、話も聞かないなんて!」
その瞬間、スネイプの顔色が変わった。
怒りに狂った瞳をハリーに向けて、怒りを顕にした声で叫んだ。
「黙れ!吾輩に向かってそんな口の利き方は許さん!」
スネイプの叫び声が屋敷に木霊する。
「蛙の子は蛙だな、ポッター!吾輩は今お前のその首を助けてやったのだ。ひれ伏して感謝するがいい!こいつに殺されれば、自業自得だったろうに!おまえの父親と同じような死に方をしたろうに。ブラックのことで、親も子も自分が判断を誤ったとは認めない傲慢さよ」
「なんて言い方をするの、セブ!!」
「黙れ、アリアネ!さあ、どくんだ。さもないと、どかせてやる。どくんだ、ポッター、アリアネ!」
これでは埒が明かない。
そう判断したアリアネは杖を構えた時、隣でもハリーが杖を構えた。
そして同時に呪文を唱えたのである。
「「エクスペリアームス(武器よ去れ)!」」
だが、叫んだのはアリアネとハリーだけではなかった。
ハーマイオニーとロンも叫んでおり、後ろを振り返れば2人が杖をスネイプへと向けていたのだ。
呪文を唱えられ、当てられたスネイプは壁に激突してズルズルと床に滑り落ちる。
その額からはダラダラと血が流れていて、気絶していた。
「せ、セブ!」
「大丈夫だ、気絶しているだけだ」
シリウスがそう言い、慌てるアリアネを落ち着かせようとした。
「こんなこと、君達がしてはいけなかった。私に任せておくべきだった……」
この行動が果たして正解だったのか。
アリアネは戸惑いながらも、リーマスの元に駆け寄った。
そして縄を解こうと格闘する。
「先生を攻撃してしまった……先生を攻撃して……。あた、私たち、ものすごい規則破りになるわ」
ハーマイオニーは震えて涙声でスネイプを見ていた。
「解けないッ……!」
アリアネは固く結ばれているリーマスの縄を解こうと力を込めていたが解けない。
するとシリウスが近寄ってきた。
「私がやろう」
シリウスは手際よく、そして素早くリーマスの縄を解いた。
そしてリーマスは立ち上がり、紐がくい込んだ腕をさするとアリアネの頭を撫でる。
「ハリー、アリアネ、ありがとう」