第13章 裏切り者【アズカバンの囚人】
「だからスネイプは貴方が嫌いなんだ。スネイプはあなたもその悪ふざけに関わっていたと思ったわけですね?」
「そのとおり」
その時だった。
リーマスの背後の壁から、冷たい嘲るような笑い声が聞こえてきたのだ。
何事かと全員がそちらへと視線を向けた。
そして全員が驚愕したのである。
「セブ……!?」
そこに居たのはセブルス・スネイプ。
彼は『透明マント』を脱ぎ捨て、杖をリーマスへと向けて立っていたのである。
「なんで、セブが……どうやって?」
「『暴れ柳』の根元でこれを見つけましてね」
スネイプは杖をリーマスに向けながら、手に持っていたマントを脇へと投げ捨てた。
「ポッター、なかなか役に立ったよ。感謝する……」
スネイプは息切れをしていた。
だが、勝利の喜びを抑えきれない顔をしながらリーマスとシリウスを交互に見つめる。
「吾輩がどうしてここを知ったのか、諸君は不思議に思っているだろうな?君の部屋に行ったよ、ルーピン。今夜、例の薬を飲むのを忘れたようだから、吾輩がゴブレットに入れて持って行った。持っていったのは、まこに幸運だった……吾輩にとってだがね」
ニヤリとスネイプは意地の悪い笑みを浮かべた。
「君の机に何やら地図があってね。一目見ただけで、吾輩に必要ならことは全てわかった。君がこの通路を走っていき、姿を消すのを見たのだ」
「セブルス──」
「吾輩は校長に繰り返し進言した。君が旧友のブラックを手引きして城に入れているとね。ルーピン、これがいい証拠だ。いけ図々しくもこの古巣を隠れ家に使うとは、流石の吾輩も夢に思いつきませんでしたよ」
「セブルス、君は誤解している」
リーマスは切羽詰まったように言うが、スネイプは底冷えするような冷たい瞳でリーマスを見た。
「君は、話を全部聞いていないんだ。説明させてくれ。シリウスはハリーとアリアネを殺しに来たのでは無い」
「今夜、また2人、アズカバン行きが出る」
「待って、セブ!」
「黙っていろ、アリアネ!」
アリアネはスネイプの叫び声に瞳を閉じて、肩を跳ねさせた。
「ダンブルドアがどう思うか、見物ですか……ダンブルドアは君が無害だと信じきっていた。わかるだろうね、ルーピン……飼い慣らされた人狼さん……」