第13章 裏切り者【アズカバンの囚人】
ロンが驚いて叫び、立ち上がろうとしたが折れた足に痛みを感じたのか悲鳴をあげた。
それを心配したリーマスが近寄ろうとしたが、ロンが叫んだ。
「僕に近寄るな、狼男め!」
「ロン!そんな言い方しないで!」
「君は、シリウスに加担している男の味方をするのかい!?ルーピン先生は、君の命を狙っているのに!?」
「でもそんな言い方しないで!リーマスは私の名付け親なの!大事な……名付け親なの……」
アリアネがリーマスのことを狼人間と知ったのは、4歳の時だった。
満月の日になる時だけ、リーマスは必ず自室にこもり鍵をかけて出てこようとしなかったのだ。
アリアネは彼の父に預けられて、引き離されていたが、ある日だけ、それが嫌でリーマスの傍にいたくて彼と暮らしていた家にこっそりと帰った時があった。
その時見たのだ。
リーマスが狼人間に変身するのを見て、それをリーマスに話した。
リーマスは大層驚き、『満月の日は私は危険な物になるから近づいてはいけない』と約束させた。
だが狼人間はちゃんとした職付けない……アリアネをちゃんと育てられてない、何時か危険に晒す。
その理由でウィーズリー家に預けたのである。
「ありがとう、アリアネ……」
「ダメよ、アリアネ。ルーピン先生に近寄っちゃダメよ。狼人間でもあるし、ブラックの味方なんだから」
ハーマイオニーはそう言いながら、リーマスを睨みつける。
「いつごろから気づいていたのかね?」
「ずーっと前から。スネイプ先生のレポートを書いた時から……」
「スネイプ先生はお喜びだろう。スネイプ先生は、私の症状が何を意味するのか、誰かに気付いてほしいと思って、あの宿題を出したんだ。月の満ち欠け図を見て、私の病気が満月と一致することに気づいたんだね?それとも『ボガート』が私の前で月に変身するのを見て気づいたのかね?」
「両方よ。でもアリアネの反応で確信したの。だってアリアネ、レポートを書くのを酷く嫌がっていたもの。それに、ボガートが月に変身した時に酷く動揺もしていたわ」
ハーマイオニーの言葉にアリアネは唇を噛んだ。
まさか自分の行動で確信を持たせてしまったなんて……と。
「ハーマイオニー、君は、私がいままで出会った、君と同年齢の魔女の誰よりも賢いね」