第13章 裏切り者【アズカバンの囚人】
「──その人とグルなんだわ!」
「ハーマイオニー、落ち着きなさい」
「私、誰にも言わなかったのに!先生のために、私、隠していたのに──」
「まさか、ハーマイオニー……貴方……」
アリアネはハーマイオニーが言わんとしている事に気がついて、目を見開かせた。
そしてハーマイオニーからリーマスへと視線を向けて、アリアネは混乱する。
「ハーマイオニー、話を聞いてくれ。頼むから!説明するから──」
「僕は先生を信じてた」
ハリーが声を震わせながら、呟いた。
彼の瞳の色は恐怖でなく怒りに変わっている。
「それなのに、先生はずっとブラックの友達だったんだ!」
「……リーマス、なんで?その人は私の母さんと父さんの仇なのよ。なのになんで……シリウス・ブラックの友達だったの?」
「それは違う。この12年間、私はシリウスの友ではなかった。しかし、いまはそうだ……説明させてくれ。アリアネ、ハリー、聞いてくれ」
「ハリー、アリアネ、騙されないで。この人はブラックが城に入る手引きをしてたのよ。この人も貴方達の死を願ってるんだわ。この人、狼人間なのよ!」
ハーマイオニーの叫び声で沈黙が流れる。
アリアネはハーマイオニーの言葉に目を見開かせてから、固まり、息を飲んだ。
そしてリーマスへと視線を移せば、彼はこの状況に驚いた顔はしていなかった。
「いつもの君らしくないね、ハーマイオニー。残念ながら、3問中1問しか合っていない。私はシリウスが城に入る手引きはしていないし、もちろんハリーとアリアネの死を願ってなんかいない……アリアネは私の名づけ子なんだよ。しかし、私が狼人間であることは否定しない」
「リーマス……」
「アリアネ、貴方、ルーピン先生が狼人間なの知っているのよね?」
「……知っているわ。もう、うんと小さい頃から。だって、私がウィーズリー家に預けられたのは、それが理由だったから」
アリアネの声は震えていた。
名付け親の秘密を明らかにされたのと、名付け親が両親の仇である男と親しげにしているから。
「リーマスは、狼人間だから、私がいたら危ないからって……気にして、ウィーズリー家に私を預けたのよ……」
「知っていたのか、君は!」