第13章 裏切り者【アズカバンの囚人】
そんな中で、ロンは勇敢にもシリウスに対して言い放った。
「ハリーとアリアネを殺したいのなら、僕たちも殺すことになるぞ!」
激しくそう言いながら、ロンは立ち上がろうとした。
だが足が折れているせいで、僅かによろめく。
「座っていろ。足の怪我が余計酷くなるぞ」
「聞こえたのか?僕たち4人を殺さなきゃならないんだぞ!」
「今夜はただ一人を殺す」
「なぜなんだ?」
ロンとハーマイオニーの腕を振りほどこうと藻掻く、ハリーは吐き捨てるように聞いた。
「この前は、そんなことを気にしなかったはずだろう?ペティグリューを殺るために、たくさんのマグルを無惨に殺したんだろう?どうしたんだ。アズカバンで骨抜きになったのか?」
「ハリー!黙って!」
「コイツが僕とアリアネの父さんと母さんを殺したんだ!」
ハリーは屋敷に響くぐらいに大きな声で叫んだ。
そして渾身の力でロンとハーマイオニーの腕を振りほどいてシリウスに飛び掛った。
「ハリー!」
ハリーは痩せこけたシリウスの手首を掴み、捻って杖先を逸らせて、もう片方の手の拳でシリウスの横顔を殴りつける。
アリアネも飛び出していた。
その様子にハーマイオニーは悲鳴をあげるかのように叫び、ロンは呻く。
ハリーは必死に手当たり次第にシリウスを殴り続けていたが、シリウスはハリーの喉を捉えた。
「いいや、もう待てない」
「ハリーを離しなさい!」
その瞬間、アリアネがシリウスの顔を思いっきり殴り飛ばしていた。
そしてシリウスの身体を渾身の蹴りを入れてから、ハリーを引っ張っる。
ロンはシリウスの杖を持っている腕に体当たりして、杖を離させた。
アリアネとハリーは急いで杖を取ろうとしたが、それを邪魔するのがいた。
「クルックシャンクス!ジーク!」
なんと、クルックシャンクスとジークがアリアネとハリーの邪魔をしたのである。
クルックシャンクスはハリーの杖に飛びつき、ジークはアリアネと杖を奪おうとした。
「取るな!」
「ジーク、辞めて!!」
ハリーはクルックシャンクスに目掛けて蹴りを入れて、アリアネはジークを手で追い払った。
「どいてくれ!」
ハリーはハーマイオニーとロンへと叫んだ。
ハーマイオニーは脇へ避けて、ロンはベッドに這いつくばりばたりと倒れた。