第13章 裏切り者【アズカバンの囚人】
「ロンはどこ?」
後から滑り込んできたハーマイオニーが震える声で聞いてくる。
「こっちだ」
「このトンネル、どこに続いているのかしら?」
3人は狭いトンネルを背中を丸めて、ジークとクルックシャンクスを追いかけるように歩いた。
「分からない……『忍びの地図』には書いてあるんだけど、フレッドとジョージはこの道は誰も通ったことがないって言ってた。この道の先は地図の端からはみ出てる。でもどうもホグズミードに続いてるみたいなんだ……」
3人は背中を丸めながらも、急いでトンネルの中を歩いていく。
黒犬に連れて行かれたロンが心配であり、焦ってもいた。
「あの黒犬、何度か私会ったことがあるけど……襲ってきたりなんかしなかったのに……」
アリアネは疑問を抱いていた。
あの黒犬は何度も遭遇して、触ったり撫でたりしながら襲ってくる事はなかったのだ。
それなのに今回は何故、ロンを襲ったのだろうか。
暫く長いトンネルを歩いていれば、小さな穴から漏れるぼんやりとした明かりが見えた。
3人ともあるものを見ようと杖を構えたが、そこにあっまのは部屋だった。
「……部屋?」
埃っぽい部屋だ。
壁紙は剥がれていて、床は染みだらけであり家具は誰かに破壊されている。
窓には全て板が打ち付けられていた。
「廃墟の中……かしら?」
「そう見える……」
ちらりとアリアネとハリーはハーマイオニーへと視線を向けると、彼女は小さく頷いた。
3人は穴をくぐり抜けから部屋を見渡したが、誰もいない。
するとハーマイオニーがアリアネとハリーの腕を掴んだ。
「ハリー、アリアネ、ここ、『叫びの屋敷』の中だわ」
「……ここが?」
その時だった。
3人の頭上から軋む音が聞こえてきたのである。
何かが上の階で動いているのに気が付き、3人はこっそりと隣のホールに忍び込んでから、崩れ落ちそうな階段を上がっていく。
どこもかしこも分厚い埃を被ってるなかで、床には何かが上階に引きずられた跡があった。
そして3人は踊り場で足を止める。
「ノックス(消えよ)!」
3人は明かりを消してから、辺りを見渡す。
そして一つだけ開いているドアを見つけて、こっそりと3人はドアに近づいた。
するとドアの向こう側からは物音が聞こえてきたのと同時にうめき声が聞こえてくる。