第13章 裏切り者【アズカバンの囚人】
ーthird person singularー
4人が小屋を離れる時、バタンと扉が閉まるのが聞こえた。
「お願い、急いで。耐えられないわ、私、とっても……」
ハーマイオニーは急ぐように急かした。
ここにいると、バックビークが処刑されてしまう音が聞こえてしまう。
それはアリアネもとても耐えれることではなくて、足を急がせた。
城に繋がる芝生を踏みながら歩いていれば、ロンが突然立ち止まった。
「ロン、お願いよ、早く行って」
「スキャバーズが、こいつ、どうしても、じっとしてないんだ」
ロンはポケットから出てこようとするスキャバーズを、ポケットに押し込もうとしていた。
だがスキャバーズは大暴れして、キーキーと鳴きながら暴れている。
そしてロンの手に噛み付こうとしていた。
「スキャバーズ、僕だよ。このバカヤロ、ロンだってば」
すると4人の背後から扉か閉まる音が聞こえた。
「ねえ、ロン、お願いだから、行きましょう。いよいよやるんだわ!」
「ああ、スキャバーズ、じっとしてろったら」
よくやく、ロンが足を踏み出し始める。
4人は処刑される音から逃れようと歩き出したが、またロンが立ち止まった。
「こいつを抑えてられないんだ。スキャバーズ、こら、黙れ。みんなに聞こえっちまうよ」
スキャバーズはずっとキーキーと喚く。
その途端、ハグリッドの畑からは声が聞こえてきたかと思えば静かになった。
そして、その音が突如鳴る。
シュッ、ドサッ。
斧が振られて、何かを切り落とした音が聞こえてきたのだ。
「やってしまった!し、信じられないわ、あの人たち、やってしまったんだわ!」
4人はショックでその場から動けなくなってしまった。
その途端、畑から荒々しく吠えるかのような声が聞こえてきて、ハリーとアリアネは振り返る。
「ハグリッドだ」
ハリーは引き返そうとしたが、その腕をアリアネとロンとハーマイオニーが掴んで止めさせた。
「無理よ、ハリー」
「戻れないよ。僕たちが会いにいったことがしれたら、ハグリッドの立場はもっと困ったことになる……」
その言葉にハリーは眉を下げて俯いた。
するとハーマイオニーは息を荒く乱しながら呟く。
「どうして、あの人たち、こんなことが出来るの?」
「ハーマイオニー……落ち着いて。ゆっくりと息を吸って」