第13章 裏切り者【アズカバンの囚人】
悲痛に近い叫び声をハーマイオニーはあげた。
「ハグリッドが今度は冷静になって、ちゃんと弁護しさえすれば、バックビークを処刑されるはずないじゃない……」
ハーマイオニーの言葉は自信無さげ。
その事を察して、私は無言になってしまい、危険生物処理委員会が歩いていった場所へと視線を投げるのだった。
昼食時間、午後の試験が全部終わるのを皆は楽しみにしていてはしゃいでいた。
だけど私やハリー、ロンとハーマイオニーはハグリッドの事を考えると、とてもはしゃげる気分じゃなかった。
「じゃあ、私はこっちだから。『占い学』の試験頑張って。馬鹿馬鹿しいと思うけど」
「ハーマイオニーこそ頑張ってね」
私とハリー、ロンの最後の試験は『占い学』で、ハーマイオニーは『マグル学』。
2階の廊下でハーマイオニーと別れてから、私達は『占い学』の教室に繋がる螺旋階段を上がった。
そこには試験待ちの生徒がいて、大勢が腰掛けている。
「一人一人試験するんだって」
「だからこんなに並んでいるのね」
隣にいたネビルが教えてくれたことのより、大勢の生徒がいることを理解した。
「君たち、水晶玉の中に、何でもいいから、何か見えたことある?」
「ないさ」
「ないわね」
ロンは気のない返事をしながら、時計を気にしていた。
バックビークの裁判の時間を気にしているのだろう。
(2時からよね、裁判って……まだ時間じゃないけど。どうかハグリッドが勝ってちょうだい)
そう願いながら待っていると、試験を終えた生徒たちが降りてくる。
その生徒たちに待っている生徒たちが試験内容を聞いた。
「先生に何て聞かれた?大したこと無かった?」
だけど誰も答えようとしなかった。
「もしそれを君たちに喋ったら、僕、酷い事故に遭うって、トレローニー先生が水晶玉にそう出てるって言うんだ!」
ネビルの言葉に私は呆れた。
「ああやって脅して、試験内容を伝えないようにしているのね。馬鹿らしいわ」
「本当にそうだ。勝手なもんだよな。ハーマイオニーが当たってたような気がしてきたよ。まったくインチキばあさんだ」
「まったくだ」
ちらりと腕時計を見れば、既に2時になっていた。
すると撥ね戸の上から『ロナルド・ウィーズリー』と声が聞こえてくる。