第13章 裏切り者【アズカバンの囚人】
「そんな事、させるか!僕、そいつのためにながーいこと資料を探したんだ。それを全部無視するなんて。そんなことさせるか!」
私はイライラしながら爪を齧る。
ルシウス・マルフォイがまた、圧力をかけたに違いない。
魔法省の老いぼれ達は、ルシウス・マルフォイが怖いのだ。
純血の一族でもある為、力と権力を持っているから。
「ああ、マルフォイの横っ面を殴りたいわ」
「同感だね」
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試験当日。
月曜日の昼食時間、3年生は『変身術』の教室からよろけながら出てきた。
私も少し疲れ気味で出てきてからテーブルに顔を押し付ける。
「ティーポットを陸亀に変えるなんて、難しすぎるわよ。亀になったけど、陸亀だったかしら」
「君とハーマイオニーなら、陸亀になっただろう?優秀なんだから」
「うーん、亀にはなったけれど」
「僕のは尻尾のところがポットの注ぎ口のままさ。悪夢だよ……」
「亀って、そもそも口から湯気を出すんだっけ?」
「僕のなんか、甲羅に柳模様がついたまんまだった。ねて、減点されるかなぁ?」
「マクゴナガル先生次第ね、それは……」
ハーマイオニーはもう既に次の試験を復習をしていて、私たちの会話には耳を傾けていなかった。
次は『呪文学』の試験。
その次はハグリッドの『魔法生物飼育学』であり、その次は『魔法薬学』。
その次に『天文学』へと向かってと色々大変であった。
最後から2番目のテスト。
木曜の午前中は『闇の魔術に対する防衛術』であった。
色々な複雑な試験をしてから、最後にボガートを閉じ込められている大きなトランクに入り込んで戦うというもの。
(ボガート、私のは吸魂鬼に変身するはず……)
案の定、ボガートは吸魂鬼に変身した。
リーマスが顔を強ばらせていたけれど、私は呪文を唱えた。
「リディクラス(バカバカしい)!」
吸魂鬼に襲われる前に、吸魂鬼を紅茶のティーポットにさせた。
するとリーマスは強ばらせいてた顔を緩めてから、にっこりと微笑んだ。
「上出来だ、アリアネ。満点」
「ありがとう、リーマス!」
『闇の魔術に対する防衛術』の試験が終わり、私達は正面玄関の階段を上がろうとした。
だがその前に足を止める。
「魔法大臣……」
そこには魔法大臣のコーネリウス・ファッジがいたのだ。