第12章 守護霊【アズカバンの囚人】
私は俯きながら頷いた。
自分の身は大切にしないと言う言葉は、よく言われている。
自分なりに大切にしているけれど、どうやら大切に出来ていないらしい。
「それに私はもう怒っていないよ」
「本当に……?」
「ああ」
「そっか……それなら良かった。でも、ごめんなさい。勝手なことして」
「反省していれば、それでいいんだよ」
クスッと笑うリーマスの目の下には隈がくっきりと出来ていた。
「校則を破る所と、無茶な事するのはやっぱりウィリアスに似てるね。だけど女の子だから無茶ばかりはしないように」
「はぁい」
「いい子だね。それじゃあ、宿題頑張るだよ」
リーマスは頭を撫でると立ち上がって図書室を出て行った。
「許されて、よかった……」
そう呟きながら、私は笑みを浮かべて宿題に取り掛かるのだった。
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クィディッチの試合日近く。
グリフィンドールとスリザリンはピリピリとしていた。
しかもハリーは酷い目に遭っていた。
授業に行く途中、スリザリン生がハリーの足を引っ掛けようとしたのだ。
勿論その生徒たちには鉄槌を下したけれど、スリザリン生はハリーに怪我をさせようとしているのだ。
「マクゴナガル先生に言ってくるわ!」
「証拠がないと無理なんじゃないかな」
「それでも言うべきよ。ハリー、怪我してない?」
「大丈夫、怪我する前にアリアネが鉄槌を下してくれたから」
近くではハリーの足を引っ掛けようとしたスリザリン生が青い顔をして正座していた。
私がさせたのだけれど。
それから、ハリーが狙われていると聞きつけたウッドがハリーに大勢の敬語を付けた。
これのおかげでハリーと私たちはいつも大勢に囲まれるようになった。
そして試合前夜。
グリフィンドールの談話室ではいつもの、活動が放棄されてしまった。
ハーマイオニーでさえ、勉強をしていないのだ。
「勉強できないわ。とても集中でにない」
「この騒がしさだとね……とても集中なんて出来ないわ」
談話室はこれでもかというぐらいに騒がしかった。
ハリーはというと、緊張で顔色が悪くて、私とロンとハーマイオニーは元気づけようとする。
「絶対、大丈夫よ」
「そうよ、大丈夫よハリー」
「君にはファイアボルトがあるじゃないか!」
「うん……」
するとウッドが急に立ち上がって叫んだ。
「選手!寝ろ!」