第12章 守護霊【アズカバンの囚人】
シリウス・ブラックの2度目の侵入で、安全対策が厳しくなってしまいアリアネとハリー、ロン、ハーマイオニーは日が暮れてからハグリッドの所を尋ねるのは不可能だった。
話ができるのはハグリッドの授業の時だけ。
だがハグリッドは敗訴したことにより、ほぼ放心状態だった。
「みんな俺が悪いんだ。舌がもつれちまって。みんな黒いローブを着込んで座ってて、そんでもって俺はメモをぼろぼろ落としちまって、ハーマイオニー、おまえさんがせっかく探してくれたいろんなもんの日付は忘れっちまうし。そんで、そのあとルシウス・マルフォイが立ち上がって、やつの言い分を喋って、そんで、委員会はあいつに『やれ』と言われた通りにやったんだ……」
「まだ控訴がある!まだ諦めないで。僕たち、準備してるんだから!」
5人はクラスの他の生徒たちと一緒に城に向かっていた。
前の方では、クラッブとゴイルを引き連れたマルフォイがいて、ちらちらと後ろを振り返ってはクスクスと笑っている。
「ロン、そいつぁだめだ。あの委員会は、ルシウス・マルフォイの言うなりだ。俺はただ、ピーキーに残された時間を思いっきり幸せなもんにしてやるんだ。俺は、そうしてやらにゃ……」
「ハグリッド……」
ハグリッドは涙を溢れさせながら、踵を返して小屋の方へと戻って行ってしまった。
「見ろよ、あの泣き虫!あんな情けないものを見たことあるかい?しかも、あいつが僕たちの先生だって!」
マルフォイがハグリッドを指さして愉快げに笑っていた。
その姿にアリアネとハーマイオニーの中で何かが切れる。
ハーマイオニーが、力を込めてマルフォイの横っ面を引っぱたいた。
そしてアリアネはありったけの力で、マルフォイの顔面を拳で殴り飛ばしたのだ。
「ハグリッドのことを情けないだなんて、よくもそんなことを。この汚らわしい、この悪党!」
「もう1回言ってみなさい、マルフォイ!次は顔だけでは済まさないわよ!!躾治してやる!」
「ハーマイオニー!アリアネ!」
「駄目だ!2人とも、杖を収めて!」
アリアネとハーマイオニーは杖を取り出し、今にもマルフォイに攻撃をしそうになっている。
マルフォイは怯えて後退りをしており、クラッブとゴイルも手出が出来ない状態。