第12章 守護霊【アズカバンの囚人】
「そうよ。あの父親がどんな人か知ってるでしょう。委員会は、老いぼれのヨボヨボのバカばっかり。みんな怖気付いたんだわ。そりゃ、控訴はあるわ。必ず。でも、望みはないと思う……何にも変わりはしない」
ハーマイオニーは目元に浮かぶ涙を拭う。
「いや、変わるとも。ハーマイオニー、今度は君1人で全部やらなくてもいい。僕が手伝う」
「ああ、ロン!」
嬉しさのあまりなのか、ハーマイオニーはロンの首に抱きついて泣き出してしまった。
ロンはおたおたとしており、その光景をアリアネとハリーはニヤついてしまう。
ロンはニヤつく2人を睨みつけながらも、ハーマイオニーを不器用にも撫でた。
暫くすると、ハーマイオニーは落ち着いたのかロンから離れる。
「ロン、スキャバーズのこと、ほんとに、ほんとにごめんなさい……」
「ああ、ウン。あいつは年寄りだったし、それに、あいつ、ちょっと役たたずだったしな。パパやママが、今度は僕にふくろうを買ってくれるかもしれないじゃないか」
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ー日曜日ー
「え!?君、今日デートなの?」
「違うわよ!ちょっとピクニックするだけよ」
日曜日、アリアネはこの日はセドリックとピクニックする予定が入っていた。
その話をハリー達にすれば、ロンが『デートだ!』と騒いだのである。
「相手はセドリック・ディゴリーよね。貴方に告白した……。あの人貴方のこと諦めてないのね。デートに誘うなんて」
「ハーマイオニー……お願いだからデートって言わないで。変に意識しちゃうから」
「意識させるのが目的なんでしょうね、相手は。いい、アリアネ、無理矢理なにかされそうになったら相手の急所を狙うのよ」
「ハーマイオニー、君は怖いことを言うんだね」
「セドリックは無理矢理なにかしそうな人じゃないと思うけど……。そろそろ時間だし行ってくるわ。その後、ハグリッドの事で話しましょう」
アリアネはグリフィンドール塔の談話室から肖像画を抜け出すと、そこにはセドリックの姿があった。
「やあ、アリアネ」
「こんにちは、セドリック。もしかして待たせてしまったかしら?」
「そんなに待ってないよ。今来たばかりなんだ」
頬笑みを浮かべるセドリックは、アリアネの傍まで歩いてきた。