第12章 守護霊【アズカバンの囚人】
リーマスはローブの中に地図を収めてしまった。
そしてアリアネとハリー、ロンへと視線を向けると外へと促す。
「ハリー、ロン、アリアネ、一緒においで。吸魂鬼のレポートについて話があるんだ。セブルス、失礼するよ」
研究室から出た3人は一言も発さずに黙々と玄関ホールまで歩いた。
だがハリーがこの沈黙を破る。
「先生、僕──」
「事情を聞こうとは思わない。何年も前にフィルチさんがこの地図を没収したことを、私はたまたや知っているんだ。そう、私はこれが地図だということを知っている」
「リーマス、地図の事を知っていたの?」
「とある事情でね」
その言葉にアリアネとハリー、ロンは驚いてお互いの顔を見合わせた。
「これがどうやって、ハリー、アリアネ、君達のもとになったのか私は知りたくない。ただ、君達がこれを提出しなかったのには、私は大いに驚いている。先日も、生徒の1人がこの城の内部情報を不用意に放っておいたことで、あんなことが怒ったばかりじゃないか。だから、ハリー、アリアネこれは返してあげる訳にはいかないよ」
没収されてしまった事に、3人は残念そうにはしなかった。
何となく没収されることは分かっていたから。
「スネイプは、どうして僕がこれを製作者から手に入れたと思ったのでしょう?」
「それは……」
リーマスは少し口ごもった。
「それは、この地図の製作者だったら、君達を学校の外へ誘い出したいと思ったかもしれないからだよ。連中にとって、それがとても面白いことだろうからね」
「先生は、この人たちをご存知なんですか?」
「会ったことがある」
ぶっきらぼうに答えたリーマスは、真剣な眼差しでハリーとアリアネを見つめた。
「ハリー、アリアネ、この次は庇ってあげられないよ。私が行くは説得しても、君達が納得して、シリウス・ブラックのことを深刻に受け止めるようにはならないだろう。しかし、吸魂鬼が近づいた時に君達が聞いた声こそ、君達にもっと強い影響を与えているはずだと思ったんだがね。君達のご両親は、君達を生かすために自らの命を捧げだんだよ、ハリー、アリアネ。それに報いるのに、これではあまりにもお粗末じゃないか。たかが魔法のおもちゃ1袋のために、ご両親の犠牲の賜物を危険にさらすなんて」