第12章 守護霊【アズカバンの囚人】
「セブルス、呼んだかい?」
「いかにも」
スネイプは顔を怒りに染めながら机の方に戻ると、それをリーマスに見せた。
「いましがた、ポッターにポケットの中身を出すように言ったところ、こんな物を持っていた」
リーマスは未だに浮かんでいる、ムーニー、ワームテール、パッドフット、レッドベアー、プロングズの言葉を見てから奇妙な、窺い知れない表情を浮かべる。
「この羊皮紙にまさに『闇の魔術』が詰め込まれている。ルーピン、君の専門分野だと拝察するが。ポッターがどこでこんな物を手に入れたと思うかね?」
リーマスが顔を上げて、ハリーとアリアネに視線を投げた。
その視線は『黙っているように』と言っているようで、2人は口を閉ざす。
「『闇の魔術』が詰まってる?セブルス、本当にそう思うのかい?私が見るところ、無理に読もうとする者を侮辱するだけの羊皮紙にすぎないように見えるが。子供ぁましが、決して危険じゃないだろ?ハリーは悪戯専門店で手に入れたのだと思うよ」
「そうかね?悪戯専門店でこんな物をポッターに売ると、そう言うのかね?むしろ、直接製作者から入手した可能性が高いと思わんのか?」
「それ、ロンから貰ったんです」
アリアネは思わず口を開いた。
黙っているように視線で促されたが、ここは言わないといけないのではと思ったのだ。
「ロンに確かめてもらうと助かります。ロンが悪戯専門店で買って私とハリーにくれたものですから」
「だ、そうだよセブルス。ハリー、アリアネ、この中に誰か知っている人はいるかい?」
「「いいえ」」
アリアネとハリーは口を揃えて否定した。
実際にそこに書かれている名前の人物達は知らないのだから。
「セブルス、聞いたろう?私にはゾンコの商品こように見えるがね」
すると合図を待っていたと言うように、ロンが研究室に飛び込んできた。
そしてスネイプの机の真ん中で止まって、息切れしながら話す。
「それ、僕が、ハリーとアリアネにあげたんです。ゾンコで、随分前にそれを買いました……」
アリアネは心の中で『ナイス』と呟く。
するとリーマスは『ほら!』と機嫌よく手をポンと叩いて周りを見渡す。
「どうやらこれではっきりした!セブルス、これは私が引き取ろう。いいね?」