第12章 守護霊【アズカバンの囚人】
「これもまたウィーズリー君からの大切な贈り物ですかな?それとも何か別物かね?もしや、手紙かね?透明インクで書かれたとか?それとも、吸魂鬼のそばを通らずにホグズミードに行く案内所か?」
ハリーとアリアネは瞬きすると、スネイプの目が輝く。
そしてニヤリと笑うと杖を取り出してから、地図を机の上に広げて杖を向ける。
「汝の秘密を顕せ!」
杖で羊皮紙に触れるが何も現れない。
「正体を現せ!」
またもや地図は白紙のままだった。
「ホグワーツ校教師、セブルス・スネイプ教授が汝な命ず。汝の隠せし情報を、さし出すべし!」
スネイプがもう一度杖で地図を叩くと、まるで見えない手で書かれているかのように、地図の上には文字が浮かび上がった。
『私、ミスター・ムーニーからスネイプ教授きご挨拶申し上げる。他人事に対する異常なお節介はお控えくださるよう、切にお願いいたす次第』
その文字にスネイプは硬直し、アリアネとハリーは唖然としていた。
まさかこんな文字が浮かび上がるなんて知らなかったから。
地図のメッセージはそれだけじゃなかった。
最初の文字の下からまた文字が現れたのである。
『私、ミスター・プロングズもミスター・ムーニーに同意し、さらに、申し上げる。スネイプ教授はろくでもない、いやつなやつだ』
『私、ミスター・パッドフットは、かくも愚かしき者が教授になれたことに、驚きの意を記すものである』
『私、ミスター・レッドベアーがスネイプ教授に申し上げる。スネイプ教授は愚かで意地の悪い奴だと』
『私、ミスター・ワームテールがスネイプ教授にお別れを申し上げ、その薄汚いどろどろ頭を洗うようにご忠告申し上げる』
アリアネはついに頭を抱えた。
なんでこんなに挑発する言葉ばかりが浮かび上がるのだろうかと。
とばっちりがこっちに来るかもしれないのにと。
「ふむ……片をつけよう……」
スネイプは静かにそう呟くと、暖炉に向かって歩き出す。
そして暖炉の上にあった瓶からキラキラしている粉をひと握り掴むと炎の中に投げ込む。
「ルーピン!話がある!」
炎に向かって叫んだスネイプに、ハリーは何が起きたのだろうかと首を傾げる。
しばらくすると、暖炉の中からリーマスがくたびれたローブから灰を落としながら現れた。