第12章 守護霊【アズカバンの囚人】
「待ってください!なんでハリーばっかり責めるんですか!?」
「黙っておれ、フリート!」
スネイプはじろりとアリアネを睨み付けた。
その睨みにアリアネは息を飲みながら彼を真っ直ぐに見つめる。
アリアネはスネイプの魂胆は分かっている。
ハリーを挑発して白状させようとしているのだ。
それに気が付いたアリアネはスネイプを睨み付けた。
「ポッター、なんと君の父親に恐ろしくそっくなことよ」
スネイプの瞳がギラッと光り、ハリーを真っ直ぐに見る。
「君の父親も酷く傲慢だった。少しばかりクィディッチの才能があるからといって、自分がほかの者より抜きん出た存在だと考えていたようだ。友人や取り巻きを連れて威張りくさって歩き……瓜二つで薄気味悪いことよ」
「スネイプ先生、お言葉ですが今の話題にハリーのお父様の話は関係ないのではないでしょうか」
「君は黙っておれと吾輩は言ったはずだが?フリート」
「いいえ、黙りません。今のはただ単なる侮辱ですよ」
アリアネはこのスネイプが嫌いだった。
やけにハリーに対して強く当たり、彼の父親を侮辱するスネイプが嫌いだ。
そう思っていれば、隣に座っていたハリーがスネイプに食ってかかった。
「父さんは威張って歩いたりしなかった。僕だってそんなことしない」
「君の父親も規則を歯牙になけなかった。規則など、っらん輩のもので、クィディッチ杯の優勝者のものではないと。はなはだしい思い上がりの……」
「黙れ!」
「……ハリー!」
ハリーの怒りがとうとう限界を迎えた。
スネイプの顔は硬直し、アリアネは驚きで目を見開かせていた。
「吾輩に向かって、なんと言ったのかね。ポッター?」
「黙れって言ったんだ、父さんのことで!僕は本当のことを知ってるんだ。いいですか?父さんは貴方の命を救ったんだ!ダンブルドアが教えてくれた!父さんがいなきゃ、貴方はここにこうしている事さえできなかったんだ!」
「ハリー、それ以上は……!」
アリアネはハリーの口を塞いだ。
それ以上はスネイプをただ怒らせるだけ、何が起きるか分からないと思って慌てたのである。
ちらりとスネイプを見れば、土気色の顔が腐った牛乳のような色に変わっていた。