第12章 守護霊【アズカバンの囚人】
「いったいなんだ?誰かやったんだ?」
「このあたりはなかなか呪われた模様ですね」
ロンは笑い転げそうになりながらも、まるで天気の話をするかのように言う。
クラッブとゴイルはビクビクしながら辺りを見渡していた。
ハリーとアリアネは次は酷くぬかるんでいる、緑色のヘドロを手にした。
それをヒョイと投げると次はクラッブとゴイルに命中する。
(馬鹿ね、探していてもこっちは透明マントを被っているから見えるわけがないのに)
ゴイルがこちら側に来たかと思えば、彼の太い足が透明マントの裾を踏んだ。
その瞬間、ズルッと頭からマントが滑り落ちた。
「ギャアアア!」
頭だけが透明マントから出ているので、アリアネとハリーは生首の状態。
マルフォイは悲鳴をあげると死に物狂いで丘を走り去っていき、クラッブとゴイルも走り去った。
「ねえ、ハリー。これって結構やばいんじゃないの?」
「うん……やばい気がしてきた」
「ハリー!アリアネ!逃げた方がいい!マルフォイが誰かに告口したらやばい。君達は城に帰ったほうがいい。急げ!」
2人は慌ててハニーデュークスに戻り、地下室の階段を降りていった。
話してる暇もないぐらいに慌てて走ってから、魔女の像から飛び出す。
するとこちら側にやってくる足音が聞こえてきた。
スネイプだった。
黒いローブの裾を翻してから、こちら側に来るとアリアネとハリーを見下ろす。
「さてと。ポッター、フリート、一緒に来たまえ」
2人は最悪な気分でスネイプの後ろを歩いた。
その間に泥で汚れた手をポケットで拭い、バレないように証拠隠滅を測る。
そして3人は地下牢教室の階段を降り、スネイプの研究室に入った。
「2人とも、座りたまえ」
アリアネとハリーは腰掛けるが、スネイプは立ったまま。
「ポッター、フリート。マルフォイ君がたったいま、吾輩に奇妙な話をしてくれた」
「あら、なんでしょう?」
「彼の話によると、『叫びの屋敷』まで登っていったところ、ウィーズリーに出会ったそうだ。1人でいたらしい」
「ハーマイオニーとは一緒じゃなかったんですね」
ハリーは黙り、アリアネは平然とした顔で言葉を投げた。
だが内心焦りまくりであり、バレたらどうしようとドキマギしていたのである。