第12章 守護霊【アズカバンの囚人】
「遅かったな、2人とも。どうしたんだい?」
「スネイプがうろうろしてたんだ……」
「そのせいで遅れちゃったわ」
アリアネとハリーは透明マントで隠れたまま、ロンと共にハイストリート通りを歩いた。
時折ロンは2人の姿が見えないので確認を何度かした。
「どこにいるんだい?そこにいるのかい?なんだか変な気分だ……」
3人は郵便局に来た。
ロンは2人がゆっくりと見れるようにと、兄のビルに送るふろう便の値段を確かめているかのような振りをする。
次にゾンコの店に行くと、生徒でごった返していたのでアリアネとハリーは誰かの足を踏みつけないように気をつけながら歩いた。
悪戯の仕掛け、道具等が並んでいる店はいかにもウィーズリーの双子が好きそうなものばかり。
アリアネとハリーはロンにこっそりと金貨を渡して、物を買ってもらったりした。
「隠れなきゃいけないのが大変だけど、楽しいわね」
「そうだね。次は……隠れることがなく来れたら良いんだけどね」
「そうだね」
2人は小声でコソコソと話しながら、ロンが会計するのを待っていた。
暫くすればロンが会計を済ませてこちらへとやって来きた。
「次どこ行こうか。建物内ばかりはいたくないだろう?」
「何処か良い場所がないかしら……」
「何処に行く?」
「あ、じゃあ英国一呪われた『叫びの屋敷』に行こう。君達に見せてあげるよ」
ということで、3人は英国一呪われていると言われている叫びの屋敷へと向かった。
叫びの屋敷は村はずれにあり、小高い所に建っていて窓は板が打ち付けられている。
少し気味悪い廃墟だ。
アリアネはマントの中から屋敷を見てからそう思った。
「ホグワーツのゴーストでさえ近寄らないんだ」
3人は垣根に寄りかかり、叫びの屋敷を見上げる。
「僕、『ほとんど首無しニック』に聞いたんだ……そしたら、物凄く荒っぽい連中がここに住みついていると聞いたことがあるってさ。だーれも入れやしない。フレッドとジョージは、突然、やってみたけど、入口は全部密封状態だって……」
「へえ……というか暑いね。脱ごうか、マント」
「そうね、暑いし人も今はいないし脱いでもいいかもしれないわね」
2人は暑さに耐え兼ねて、マントを脱ごうとした。
だが丘の反対側から話し声が聞こえてきて、慌ててマントを被る。