第12章 守護霊【アズカバンの囚人】
「ゆ、許すわけないでしょう!近いわ、離れて!」
アリアネは火が出そうなぐらいに顔を真っ赤にさせながら、フレッドを押した。
そして顔を背けながら熱くなっている頬に触れながら息を吸う。
「それなら安心した」
「なんでフレッドが安心するのよ……」
「さあ、なんでだろうね」
フレッドは瞳を細めた。
その表情は何処か読めず、アリアネは首を小さく傾げながらも『太った婦人』に合言葉を言ってから中に入ろうとして、足を止める。
「フレッド」
「なんだい?お姫様」
「ホグズミード、行きたかったから助け舟出してくれてありがとう」
それだけを伝えるとアリアネは合言葉を伝えて、談話室へと入るのだった。
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ー土曜日ー
ホグズミードに行ける朝。
ハリーは透明マントをカバンに詰め込み、忍びの地図をポケットに収めながらアリアネと共に朝食を取るために大広間に降りていた。
「カバンに入れてるの?アレを」
「うん、入れてるよ。バッチリ準備は出来てる」
そんな話をしていれば、ハーマイオニーがアリアネとハリーを疑わしげに見ていたが2人はその視線を何とか避けながら普通通りに食事をしていた。
朝食を終えると、皆は玄関ホールへと向かうがハリーとアリアネはそこへとは行かないように歩くのをハーマイオニーに見せた。
これで疑われることはないだろう。
「じゃあ!」
「帰ってきたらまた!」
「楽しんできてね、ロン!」
わざとらしく3人は挨拶をした。
ロンを見送ると直ぐにアリアネとハリーは忍びの地図を取り出してから4階へと急ぐ。
隻眼の魔女の裏に蹲り、地図を広げてみればこちら側にネビルが来るのが見えた。
「ネビルだわ……急がないと」
「うん。ディセンディウム(降下)!」
カバンを像の中に突っ込んでから、2人も入ろうとしたがその直前にネビルが曲がってきた。
「ハリー、アリアネ!君達もホグズミードに行かなかったんだね。僕、忘れてた!」
「やあ、ネビル」
「こんなところで何してるの?ネビル」
「別に」
ネビルはつまならそうに肩を竦めてみせる。
「爆発スナップして遊ぼうか?」
「ウーン、あとでね。僕、図書室に行ってルーピンの『吸血鬼』のレポートを書かなきゃ」
「そういえば、レポートがあったわね」