第12章 守護霊【アズカバンの囚人】
「それで、どうするんだい?」
ロンは特に何事も無かったかのように、2人にそう聞いてくる。
「行こうよ。この前、君達、ほとんど何も見てないんだ。ゾンコの店に入ってもいないんだぜ!」
「ゾンコの店、私気になるわね……行ってみたいわ」
「僕も行ってみたい。よし、行こう。でも今度は『透明マント』を着ていくよ」
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金曜日の夜。
アリアネは談話室で授業のレポートを書きながら、談話室の暖炉の火に当たっていた。
周りにはハリーとロンは居らず、ハーマイオニーは少し離れた場所で勉強をしている。
「アリアネ」
「ん?どうしたの、ジョージ」
彼女に声をかけてきたのはジョージであり、肖像画の裏を指さしながらニヤリと笑う。
「君にお客様だ」
「私に?誰?」
「セドリック・ディゴリーだ。フレッドに見つかる前に会ってこいよ」
「セドリックが……?」
アリアネは慌てて肖像画の穴を抜けると、そこにはセドリックの姿があった。
何処かそわそわとしている様子が珍しく、アリアネは彼の肩を叩く。
「セドリック、こんばんは」
「こんばんは、アリアネ」
「どうしたの?」
セドリックはアリアネを見るとはにかんで微笑む。
その微笑みは柔らかくて、瞳は彼女を慈しむようなものであった。
「今週、ホグズミードに行けるだろう?だから君を誘おうと思ってね」
「え?」
「デート、しないかい?」
その言葉にアリアネは顔を赤くさせた。
すんなりと『デート』という言葉を言うセドリックに、アリアネは少し恥ずかしくなる。
だがアリアネはホグズミードに行けないことになっている。
せっかくのお誘いではあるが、断るしかないと思っていた時だ。
「残念だけど、セドリック・ディゴリー。アリアネはホグズミードには行けないんだぜ」
グイッと腰に腕を回させれて、誰かに引き寄せられる。
それに驚いて顔を後ろに向ければ、そこにはフレッドがいた。
その瞳は怒りような苛立ちのようなものを宿していて、セドリックを鋭い目付きで見ていた。
「そうなのかい?」
「え、ええ、実はそうなのよ。色々あってホグズミードには行けないことになっていて。てっ、離してよ、フレッド……!」