第12章 守護霊【アズカバンの囚人】
「ハーマイオニーがあの猫をどっかにやってくれたら、僕、また口を利くのに」
ロンは何処か拗ねたように呟いた。
未だにスキャバーズの事でロンは怒っていて、ハーマイオニーを許していない。
そんな彼にハグリッドは悩んだ表情になる。
「なのに、ハーマイオニー差頑固に猫を庇ってるんだ!あの猫は狂ってる。なのに、ハーマイオニーは猫の悪口はまるで受け付けないんだ」
「ああ、ウン。ペットのことになると、みんなチイっとバカになるからな」
その後、ハグリッドとクィディッチ優勝杯が確実になってきたという話で盛り上がり、ハグリッドは9時になると3人を城まで送った。
談話室に戻れば掲示板の周りには人垣が出来ており、アリアネは首を傾げた。
「どうしたのかしら?」
「今度の週末はホグズミードだ。どうする?」
ロンは掲示板を読み上げてから、3人は腰掛ける場所を探す。
そしてロンは周りを気にしながら、こっそりとアリアネとハリーに聞いた。
「そうだな。フィルチはハニーデュークス店への通路はまだ何も手出ししてないし……」
「あの通路ならバレずに行けるかもだけど……」
そう話している時、ハーマイオニーの声が聞こえた。
「ハリー、アリアネ!」
突然ハーマイオニーの声が聞こえ、3人は驚いて彼女の姿を探した。
ハーマイオニーは3人のすぐ後ろのテーブルに居たが、本が壁になっていて気付かなかったのだ。
「ハリー、アリアネ。今度ホグズミードに行ったら……私、マクゴナガル先生にあの地図のことお話しするわ!」
「ハリー、アリアネ、誰か何か言ってるのが聞こえるかい?」
「ロン、あなた、ハリーとアリアネを連れていくなんてどういう神経?シリウス・ブラックがあなたにあんなことをしたあとで!本気よ。私、言うから」
「そうかい。君はハリーとアリアネを退学にさせようってわけだ!今学期、こんなに犠牲者を出しても、まだ足りないのか?」
ハーマイオニーは怒りに染まった表情を浮かべる。
だが『ミャア』という猫の鳴き声が聞こえたこと思えば、クルックシャンクスがハーマイオニーの膝に乗った。
「クルックシャンクス……」
アリアネがクルックシャンクスの名前を呼ぶと、ロンは猫をギロリと睨みつけた。
するとハーマイオニーはクルックシャンクスを抱えたから女子寮へと去っていった。