第12章 守護霊【アズカバンの囚人】
ハグリッドは紅茶を入れると、干しぶどう入りのバース風菓子パンを進めたが3人は食べるの遠慮する。
「3人に話してえことがあってな」
「なんなの?」
「ハーマイオニーのことだ」
「ハーマイオニーがどうかしたの?」
ロンが聞くと、ハグリッドは眉を下げながら言葉を続けた。
「あの子はずいぶん気が動転しとる。クリスマスからこっち、ハーマイオニーはよーくここに来た。さびしかったんだな。最初はファイアボルトとピアスの事で、ぉてさんらはあの子と口を利かんようになった。今度はあの子の猫が」
「スキャバーズを食ったんだ!あの子の猫が猫らしく振舞ったからっちゅうてだ」
ハグリッドはロンに言い聞かせようとした。
「しょっちゅう泣いとったぞ。いまのあの子は大変な思いをしちょる。手に負えんぐれぇいっぺー背負い込みすぎちまったんだな、ウン。勉強をあんなにたーくさん?そんでも時間を見つけて、バックビークの裁判の手伝いをしてくれた。ええか……俺のため、ほんとに役立つやつを見っけてくれた……バックビークは今度は勝ち目があると思うぞ」
「ハグリッド、僕たちも手伝うべきだったのに、ごめんなさい」
「お前さんを責めているわけじゃねえ!」
ハグリッドは慌てて手を振り、首を振ってハリーの謝罪の言葉を遮る。
「お前さんにも、やることが沢山あったのは、俺もよーくわかっちょる。お前さんが四六時中クィディッチの練習をしてたのを俺は見ちょった。ただ、これだけは言わにゃなんねえ。おまえさんら3人なら、箒やピアスやネズミより友達の方を大切にすると、俺はそう思っとったぞ。言いてえのはそれだけだ」
「私はピアスの事は怒ってないわ。ただ、ハーマイオニーの体調を心配した時に怒鳴ったものだから私もつい怒鳴り返してしまって……」
アリアネは手をモジモジとさせながら、まるで怒られた子供のようにしょんぼりとしていた。
「あの子は勉強で追い込まれちょる。そのせいだろうな。気にかけてくれていたのは嬉しいが、怒鳴り返すのはよくねぇ。相変わらずアリアネは短気だな」
「うっ……」
「それと心底心配しちょったぞ、あの子は。ロン、おまえさんが危うくブラックに刺されそうになった時にな。ハーマイオニーの心は真っ直ぐだ。あの子はな。だのに、おまえさんら3人は、あの子に口も利かん──」