第12章 守護霊【アズカバンの囚人】
確かにカーテンはナイフのようなもので切り裂かれていた。
だが全員がそんな事あるはずがないだろうという表情であり、アリアネも唖然としていた。
「カーテンを見てみろ!ほんとだ。ここにいたんだ!」
その言葉に全員が談話室へと流れ込んだ。
もしかしたらまだここにシリウス・ブラックがいるかもしれないと逃げるように。
「叫んだの誰なんだ?」
「君たち、何してるんだ?」
談話室には叫び声を聞いた生徒達が集まり出していた。
「ロン、ほんとに、夢じゃなかった?」
「シリウス・ブラックが本当にいたの?」
「ほんとだってば。ブラックを見たんだ!」
半信半疑のアリアネはこのグリフィンドール塔に、シリウス・ブラックが本当に来ていたのだろうかと眉を寄せる。
「みんな、寮に戻るんだ!」
するとパーシーが慌てて談話室に降りてきた。
パジャマには首席のバッジを付けている。
「パース、シリウス・ブラックだ!僕たちの寝室に!ナイフを持って!僕、起こされた!」
ロンの叫び声に談話室がシーンとなる。
「ナンセンス!ロン、食べすぎたんだろう。悪い夢でも」
「本当なんだ!」
その時、マクゴナガルが談話室に飛び込んできた。
そして恐ろしい形相で集まっているグリフィンドール寮生を睨みつける。
「おやめなさい!まっまく、いい加減になさい!グリフィンドールが勝ったのは、私もうれしいです。でもこれでは、はしゃぎすぎです。パーシー、あなたがもっとしっかりしなければ!」
「先生、僕はこんなこと、許可していません」
パーシーはマクゴナガルの言葉に憤慨した。
「僕はみんなに寮に戻るように言っていただけです。弟のロンが悪い夢にうなされて」
「悪い夢なんかじゃない!先生、僕、目が覚めたら、シリウス・ブラックが、ナイフを持って、僕の上に立ってたんです」
マクゴナガルが信じられないと言わんばかりの表情をして、ロンを見据える。
「ウィーズリー、冗談はおよしなさい。肖像画の穴をどうやって通過できたというんです?」
「あの人に聞いてください!」
ロンは震える指で肖像画を指さした。
「あの人が見たかどうか聞いてください」
ロンは肖像画の裏を睨みつけていてた。
その様子にマクゴナガルはため息を吐き出しながらも、外に出ていく。
談話室にいた全員は息を殺して耳をたてた。