第2章 授業と決闘【賢者の石】
「ロンです」
ファングに舐められてベチャベチャになっているロンをハリーが紹介した。
「ウィーズリー家の子かい。え?」
ハグリッドは大きなティーポットにお湯を注いでから、ロックケーキをお皿に乗せていた。
そしてロンを見てからそう訊ねる。
「おまえさんの双子の兄貴たちを森から追っ払うのに、俺の人生の半分を費やしてるようなもんだ」
「やっぱり、ジョージとフレッドは禁じられた森に入っているのね」
「ああ。しかも逃げ足が早いと来た。追い払うのには大変だ。アリアネ、ロン、あの双子によく言い聞かせといてくれ。森に入るなと」
「言っておくけど、言う事を聞くとは思わないわ。ねえ、ロン」
「逆に巻き込まれそうさ」
私とロンが肩を竦めていれば、ハグリッドは可笑しそうに笑っていた。
するとロンを舐めまわしていたファングは、次は私の顔を舐めてくる。
「擽ったいわ!人懐っこいのね」
「撫でてやってくれ」
皮がたるんたるんとしているファングを撫でていれば、ファングは隣に座っていたハリーの膝に頭を乗せていた。
そのせいでハリーの服は涎まみれに。
そして私たちはハグリッドの出してくれたロックケーキを食べるけれども、冷凍されているのかしらと思うぐらいにケーキが固い。
歯が折れるかもと思いながらも、折角出してくれたからと無理して食べていた。
「それで、どうだ。授業は楽しいか?」
「楽しかったわ」
「それは良かった。困ったことはねえか?」
「困ったことと言えば、フィルチだね」
「あの老いぼれ」
すると、ハグリッドがフィルチをそう言ったので私たちは思わず顔を見合わせた。
そしてハリーとロンは大喜びする。
「あの猫だがな、ミセス・ノリスだ。いつかファングを引き合わせなくちゃな。俺が学校に行くとな、知っとるか?いつでもずーっと俺をつけ回す。どうしても追い払えん。フィルチのやつがそうさせとるんだ」
「そういえば、アリアネがフィルチと喧嘩したんだよ。殴りそうになって、僕とロン、抑えるのが大変だったよ」
「お、アリアネ!相変わらず喧嘩っ早いんだな!だが殴りたくなる気持ちはわかるぞ!」
「そうでしょう!ハグリッド。あの人、殴りたくなるほど腹が立つの」
私はハグリッドがいれてくれたお茶を飲みながら、フィルチを思い出して腹を立てた。