第2章 授業と決闘【賢者の石】
地下牢を飛び出てから、私はハリー達を探そうとした。
だけどハリー達は地下牢の近くの廊下で待っていてくれたようで、二人の姿を見つける。
「喧嘩しなかったよね?スネイプと」
「してないわよ·····多分」
「多分!?多分ってなに!?」
ロンは私の言葉にギョッとしながら聞いてくるけれど、多分喧嘩はしていない。
そう、多分口喧嘩かもしれないけれどと思っていればハリーが何とも言えない表情を浮かべていた。
セブの事を思い出して、あまりいい気分じゃないのかもしれない。
「そ、それより、ハリー。何時からハグリッドの所に行く?」
「あ、そうだね。三時ぐらいに行こうか。そうだ、ロンも行くことになったんだ」
「あら、そうなの?じゃあ三人で行きましょう」
なんとか話を逸らした私は、ハリー達と歩きながらセブが未だにいる地下牢に繋がる扉に視線をやる。
そして眉を寄せてから『セブのバカ』と小さく呟いた。
そして、三時五分前。
私たちはホグワーツの城を出てから、ハグリッドがいる『禁じられた森』の端にある木の小屋へと向かった。
戸口には石弓と防寒用長靴が置かれていて、木の小屋は可愛らしい建物。
「可愛らしいわ」
「そうかい?」
ハリーはそう呟きながらノックをした。
すると小屋からは何かを引っ掻くような音と、ブーンという唸るような吠えた声が聞こえてくる。
「退がれ、ファング、退がれ」
不思議な吠えた声と共にハグリッドの大きな声が聞こえてくる。
その声に三人で顔を見合わせていれば、扉が少しだけ開くと隙間からハグリッドが顔を覗かせた。
だけどまた小屋の中にいる何かに言葉をかける。
「待て、待て、退がれ、ファング」
中には大きな黒いボアーハウンド犬が居て、ハグリッドはボアーハウンド犬の首輪を押さえていたらしい。
そして彼は私たちを小屋に招き入れた。
「お邪魔します、ハグリッド」
「よく来た、よく来た」
中に入れば、ハムやきじ鳥が天井からぶら下がっていて、焚き火にかけられた銅のヤカンにはお湯が沸いている。
そんな部屋を見回していれば、ハグリッドはにっこりと笑う。
「くつろいでくれや」
ハグリッドがファングを離すと、ファングが一直線にロンへと飛びかかり彼の顔や耳を舐めまわしていた。
「懐かれたわね、ロン」
「顔が、べちゃべちゃだよ·····」